JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-OS 海洋科学・海洋環境

[A-OS31] [JJ] 近海・縁辺海・沿岸海洋で海洋学と古海洋学の連携を探る

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:磯辺 篤彦(九州大学応用力学研究所)、加 三千宣(愛媛大学沿岸環境科学研究センター)、木田 新一郎(九州大学・応用力学研究所)

[AOS31-P08] 日本海における底層水の形成とその経年変動

*田中 潔1 (1.東京大学)

キーワード:日本海、底層水形成、経年変動、力学モデル

日本海での底層水形成(陸棚水が大陸棚斜面を沈降する過程)について、その力学過程と経年変動を調べた。その結果、以下のことが分かった。冬季のピョートル大帝湾(Peter the Great Bay、以下PGB)では、低温・高塩で高密度の陸棚水が形成されている。このPGB陸棚水は、1980年以前はPGB沖の大陸棚斜面基部(3000 m深)まで時々沈降していた。ところが、1980年代に入いると、それは大陸棚斜面の半分程度(1500 m深)まで沈降することはあったものの、斜面基部(3000 m)まで沈降して底層水を形成することはなかった。しかし、2001年には、顕著に重いPGB陸棚水が作られて、再び大陸棚斜面基部にまで達する沈降が生じた。2001年に底層水形成が復活した理由は、シベリア高気圧の北部とアリューシャン低気圧が強化されて、それらが寒気を北方からPGB周辺に運んだためである。その結果、PGBで強い海面冷却が生じ、日本海での底層水形成に至ったと考えられた。すなわち、日本海底層水の形成は、大気場の経年変動に強く影響を受けている。