JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-BG 地球生命科学・地圏生物圏相互作用

[B-BG02] [JJ] 地球惑星科学と微生物生態学の接点

2017年5月24日(水) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:砂村 倫成(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、諸野 祐樹(海洋研究開発機構高知コア研究所)、木庭 啓介(京都大学生態学研究センター)、濱村 奈津子(九州大学)

[BBG02-P08] タンクモデル解析で求められた土壌層-風化層間の水循環と風化反応との関係

*神尾 重雄1増田 信吾2 (1.特定非営利活動法人 地質情報整備活用機構、2.ニュージェック)

キーワード:土壌層、水循環、タンクモデル、酒匂川水系、年平均降水量、化学的風化

概要
河川の低水流出予測に用いられるタンクモデルは流域を表現する四段のタンクの一段目タンクに降水量を入力し、各タンクの流出孔からの流出量合計を河川流量として求める流出解析モデルである。自然植生や微生物活動により形成された、地表を覆う物質である土壌層は、空隙が大きく密度も低い。一方下位の風化層については土壌層より空隙は小さく、また密度も大きい。しかしさらに下方に存在する岩石や地層に比べると風化層の空隙や空隙に接する固体粒子の表面積は、はるかに大きい性質を持つ。この土壌層と風化層の物性の違いは、タンクモデル上でも一段タンクと二段タンクとして区分される。
本検討では平均的降雨再来日間隔からモデル日降水量分布を作成し、これを入力条件として酒匂川水系の鮎沢川および河内川からの流出を表すタンクモデルを使い、タンク内部の水循環に注目した計算を行った。
モデル日降水量分布の求め方
 全国155の気象観測地点で55年間の観測データが公表されている。この中に各閾値である1,10,30,50,70,100ミリ以上の日降水量が生起する日数の月別平均値がある。これから隣接する各範囲の日降水量が生起する日数の月別平均値が求められる。この月別平均生起日数の年平均値を求め、さらにその逆数を計算して5つの降水量範囲と100ミリ以上日降水量について、日降水量の再来日間隔を155地点において求め、その地点の平均年間降水量との相関性を求めた。
年間降水量が増加すると日降水量の再来日間隔が低下する明瞭な反比例の関係となる。
降水量範囲ごとの回帰曲線をまとめ,これらから各降水量範囲と再来日間隔の関係を年間降水量一千ミリ毎に一千ミリから三千ミリまでをパラメーターとして求めた。1ミリ以下降水量はすべて0mmの曇天とし、その再来日間隔を2日とした。さらにいずれにも当てはまらない日を晴天とし、一日5ミリの蒸発散量を与えた。モデル日降水量分布を求めるには上記の降水範囲の代表値を定める必要がある。平均的な数値を中心に試算を行い、年間降水量との整合性を確認して、各降水量範囲を代表する日降水量の数値を決定した。
計算結果
モデル日降水量分布を与えることで規則的な間隔の小降雨により一段タンクと二段タンクの間に起きる水循環の様子を明らかにすることができた。図1上段には河内川タンクモデルに年間降水量千ミリケースのモデル日降水量分布を与えた計算結果を示す。このうち18ミリ及び4ミリの小降雨が規則的に生ずる期間で、一段タンクから二段タンクへの不飽和浸透とその逆方向の蒸発散に伴う水分上方移動が繰り返し起きている様子が赤の線で示される。図1下段には、対応する二段タンクの貯留量変動を青の線で示す。ここでは1732日目の38ミリ降雨を受け、貯留量は急増する。1740日目18ミリ降雨によりこの貯留量は数ミリ増加し、小さなピークを作るが、その上段で赤の線の表す浸透は小降雨による水循環の1サイクル目に相当する。2サイクル目の1754日目小降雨も貯留量の小ピークを作るが貯留量は減少していく、4サイクル目まで減少傾向の中で貯留量の小ピークが出現する。
考察
土壌中で微生物分解により作られた二酸化炭素は、まず小降雨で一段タンク内にたまった水に溶解し、浸透により二段タンクを構成する風化層まで輸送される。しかし1サイクル目では以前の大きい降雨量の影響で二段タンクに残留する水により、希釈される。2サイクル目では希釈割合は小さくなり、3サイクル以降、希釈はなくなる。この水循環が3サイクル以上になると溶脱物質を含む溶液濃度の均一化と共に反応に必要な炭酸水素イオン濃度が高まり、造岩鉱物を分解する化学反応は促進される。