[BCG10-P02] 愛媛県西条市市之川鉱山における地球表層物質によるアンチモンの取り込み挙動
アンチモン(Sb)は周期表第15属に属する元素であり、ヒ素(As)と化学的挙動が類似した元素である. SbはAsと同様に生物に対して毒性を有するため、地球表層環境における動態の理解が望まれている. 地球表層で産出する二次鉱物(地球表層物質)の多くは細粒で産し, 比表面積が大きく, 化学反応性の高い準安定相で産することが知られている. 有害金属に対して地球表層物質が有効な保持媒体と言われている(福士 2017).代表的な地球表層物質として粘土鉱物(スメクタイト及びバーミキュライト等), 金属(水)酸化物(フェリハイドライト、ゲーサイトなど), 炭酸塩鉱物(カルサイトやアラゴナイト)が挙げられる. 地球表物質によるAsの取り込み挙動は自然界の観察および室内実験により広範に検討されている。一方、Sbに関してはほとんど検討されていない. Sbの動態の解明あたっては, Sb濃度が高い地点を対象にするのが望ましい. 本研究ではかつてSb鉱山として稼働していた愛媛県市之川鉱山坑道内に生成した鉄酸化物や炭酸塩鉱物によるSbの取り込み挙動を検討することを目的とした.