JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ] ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT04] [EJ] 化学合成生態系の進化をめぐって

2017年5月21日(日) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:ジェンキンズ ロバート(金沢大学理工研究域自然システム学系)、渡部 裕美(海洋研究開発機構)、延原 尊美(静岡大学教育学部理科教育講座地学教室)、間嶋 隆一(国立大学法人横浜国立大学教育人間科学部)

[BPT04-P01] 室戸岬沖南海トラフにおける深海底長期映像のアーカイブ

*岩瀬 良一1 (1.国立研究開発法人海洋研究開発機構)

キーワード:室戸岬沖南海トラフ、長期ビデオ観察、ビデオアーカイブ

高知県室戸岬沖南海トラフの水深3572mの深海底に海底ケーブル型観測システム「海底地震総合観測システム」の先端観測ステーションが1997年に設置された.先端観測ステーションは,数個体のシロウリガイが存在する冷湧水域に位置しており,ビデオカメラ,CTD(電気伝導度,水温,深度)センサ,地中温度計,電磁流向流速計及びADCP(音響層別流速計)が搭載されている.ビデオカメラによる海底の目視観察は1997年4月以降,全ての水中ライトの断やビデオカメラが故障する前の2003年1月までの間実施された.目視観測の概要は,2002年に製作されたビデオ「深海3572mに生きる-室戸沖南海トラフ4年間の記録」(岩崎・岩井,東京シネマ新社)に紹介されている.ビデオ映像は,800本に及ぶS-VHSビデオに収録されており,今回その全てのビデオテープをMPEG-2フォーマットでデジタル化し,電子ファイルに保存した.
ビデオカメラは,パン・チルト(首振り)機能を有しているが,シロウリガイが2個体,観測期間の大半を通して存在した特定の場所をホーム・ポジションとしている.ライトが順次故障していったため,撮影条件は全観測期間で同一ではないが,これらのシロウリガイの変化が観察されている.シロウリガイのうち1個体は2001年5月に死んだとみられ,もう1個体は2001年8月に視野外に移動した.また,観測期間の初期の段階では,一方の個体の脇に小規模なバクテリアマットが周期的に消長する現象が見られる.
これらのMPEG-2ファイルのオンライン公開は現在のところ計画していないが,オフラインでの提供は近い将来に可能になると考えており,化学合成生態系の研究への寄与を期待している.