[ACG48-P09] シベリアの春季積雪減少が東アジア域の大気循環場に与える影響
キーワード:地球温暖化、積雪、大気陸面相互作用
気候変動に関する政府間パネルの第5次評価報告書によれば、北半球春季の積雪域が1990年以降大きく減少していることが報告されている。また、最近の研究では、この変化が大気循環場に影響を及ぼしている可能性も指摘されている。本研究では、人工衛星観測に基づく広域積雪データおよび客観解析データを用いて、春季シベリアにおける積雪減少が東アジア域の大気循環場に及ぼす影響を調査した。
西シベリアで領域平均した4月の積雪被覆率を基準として、大気場および陸面の合成図解析を行った。積雪被覆率が大きい年に比べ、小さい年には4月だけでなく6月にも日本付近で上層のジェット気流が南へ蛇行することが確認された。また、西シベリア南部から中央アジアにかけて、積雪被覆率が小さい年の6月には地表面温度が有意に上昇し、土壌水分量が有意に減少していることが確認された。さらに、積雪被覆率が小さい年の5‐6月には、地表面から大気への顕熱輸送量が有意に増加し、上層の大気温度も有意に上昇していた。以上のことから、積雪減少に伴う融雪水の減少が消雪後の土壌水分を減少させることで、陸面から大気への蒸発を抑制して地表面が加熱されるとともに、地表面から大気への顕熱輸送量が増加して大気を加熱し、大気循環場に影響を与えている可能性の高いことが示唆された。
西シベリアで領域平均した4月の積雪被覆率を基準として、大気場および陸面の合成図解析を行った。積雪被覆率が大きい年に比べ、小さい年には4月だけでなく6月にも日本付近で上層のジェット気流が南へ蛇行することが確認された。また、西シベリア南部から中央アジアにかけて、積雪被覆率が小さい年の6月には地表面温度が有意に上昇し、土壌水分量が有意に減少していることが確認された。さらに、積雪被覆率が小さい年の5‐6月には、地表面から大気への顕熱輸送量が有意に増加し、上層の大気温度も有意に上昇していた。以上のことから、積雪減少に伴う融雪水の減少が消雪後の土壌水分を減少させることで、陸面から大気への蒸発を抑制して地表面が加熱されるとともに、地表面から大気への顕熱輸送量が増加して大気を加熱し、大気循環場に影響を与えている可能性の高いことが示唆された。