JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ]Eveningポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG48] [EJ] 北極域の科学

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[ACG48-P17] 西部北極海バロー峡谷沖における陸棚物質の水平輸送の通年モニタリング

*小野寺 丈尚太郎1,2渡邉 英嗣2溝端 浩平3田中 裕一郎4小栗 一将5原田 尚美1,2 (1.海洋研究開発機構地球環境観測研究開発センター、2.海洋研究開発機構北極環境変動総合研究センター、3.東京海洋大学海洋科学部海洋環境学科、4.産業技術総合研究所地質調査総合センター、5.海洋研究開発機構海洋生物多様性研究分野)

キーワード:北極海、カナダ海盆、沈降粒子フラックス、陸棚‐海盆間相互作用

北極海カナダ海盆南西部において陸棚から海盆への熱や物質の水平輸送は、当該海域の生態系や物質循環を理解するうえで重要である。当海域の海洋物理モデルによると、バロー沖で形成される海洋渦は陸棚物質を取り込み、その渦のボーフォート海洋循環に沿った西方への移動はノースウィンド深海平原南部Station NAP (75°N165°W)における一時的な沈降粒子フラックスの増加に寄与している。そこでStaion NAPの上流域であるバロー沖における海洋物理と沈降粒子フラックス変動との関係を観測するため、2015年10月から2016年9月にかけてバロー沖Station NBC15t(72.47°N 155.41°W)にセジメントトラップと各種センサーを投入した。セジメントトラップに捕集された粒子は陸源砕屑物を多く含んでいた。トラップを係留した深度約243mにおける全粒子フラックスは、セジメントトラップが詰まった2016年6月以降を除くと14.6-3413.9mg m-2 d-1で推移し、その最大値はStation NAPより1桁高かった。全粒子フラックスの極大は2015年10月5-18日と2016年5月12-24日に観測された。またセジメントトラップが機能しなかった2016年9月にも、トラップに取り付けた水中カメラ映像に多くの粒子が記録されていた。各種係留センサーや水中カメラ映像の記録から、2015年10月と2016年9月の粒子フラックス極大期の陸棚起源物質は、セジメントトラップ係留深度より浅い亜表層の水平流の強化によって供給された可能性が高い。2016年5月の粒子フラックス極大は、ADCPを係留した約125mとセジメントトラップ係留深度との間のより限られた深度帯で流速が増加することで形成されたことが推測された。