[AHW36-P03] 河岸段丘上下における湧水の硝酸汚染と土地利用の関係
キーワード:地下水、汚染、土地利用
硝酸態窒素をはじめとした地下水汚染が社会的な問題となって久しい.これらの汚染の原因は,地上の土地利用によるとする先行研究が多数存在する.本研究では岩手県盛岡市北部に位置する河岸段丘周辺の湧水群における硝酸態窒素を含めた水質組成を調査し,土地利用からの影響の把握を試みた.対象湧水は,段丘上のA,B(山際)とC(水田脇),段丘下のD,Eの5カ所からなる.段丘上の土地利用は,水田,住宅,鉄工所,養鶏所,電気部品工場,食堂などであった.段丘上のAとBの水質組成は類似していた.CはNO3-がBよりも高い値を示した.DはCl-やNa+,K+およびHCO3-などがBよりも高い値であった.EにおいてはDよりもNa+とK+,Cl-が少ないが,NO3-がDと同様に高かった.C,D,Eにおいては水温の年変動が見られ,比較的表層を流れる地下水考えられた.Dの方がEよりも水温の年変動は顕著であり,地下水の流れは異なるものと考えられる.CにおいてNO3-とSO4-が増加したことから,Cは水田の施肥による影響が示唆された.一方,DについてはK+とCl-,Na+,Ca2+の増加傾向がCと異なり,家庭,もしくは産業排水などの水田灌漑や施肥とは別の人為的な影響が考えられる.DとEは水質組成が異なり,土地利用による地下水への影響は狭い範囲で影響することが示唆された.