[AOS15-P15] ミンダナオドーム上で観測された水温・塩分の微細構造
キーワード:internal gravity wave, salt finger, Mindanao Dome
気象庁の啓風丸が2011年6月から7月に行った137Eの定線観測において、6Nから11N付近にかけて、それより北では見られなかったスパイク状の微細構造を持った水温・塩分の変動を航走水温塩分計(TSG:水温観測精度0.001 度、1分毎に観測)が記録していた。CTDの観測(緯度1度間隔)では、その変動が起きている海域は低温高塩分の水塊(いわゆるミンダナオドーム)の上で起きていたことがわかった。
ミンダナオドームは8N付近で最も発達し、水温躍層(ポテンシャル水温28度に相当)は50dbまで盛り上がっていた。upwellingは8N付近で最も活発と考えられる。TSGで観測した表層のTSの変動幅は8Nの南北、7N、9Nで最大であり、溶存酸素も過飽和状態となっていた。これらの観測結果は、鉛直方向の拡散が活発であったことを示唆している。
CTD観測の鉛直プロファイルでは階段状の構造が見られた。5Nの場合、層の厚さは約4dbar、浮力振動数は概算で10分強である。また、TSGの観測から、水平方向の波長は約0.01度=約1kmと見積もられた。
どのような流れが上記の構造をなしているのか、限られたデータからではあるが、2つの可能性を考えた。ソルトフィンガーあるいは内部重力波である。ソルトフィンガーと解釈するには、セルの形状があまりにも扁平すぎるのが難点である。内部重力波として解釈する際、参考になるのがMichael Le Bars等 (2015)の実験結果である。彼らの実験設定はミンダナオドーム付近の場に非常に類似している。安定成層の上の乱流対流層で、内部重力波が励起され、伝搬することを彼らは示した。この海域でその実験と同様のことが起きている場合、内部重力波が運動量を輸送している可能性も考えられる。観測結果と彼らの実験結果を比較し考察する。
ミンダナオドームは8N付近で最も発達し、水温躍層(ポテンシャル水温28度に相当)は50dbまで盛り上がっていた。upwellingは8N付近で最も活発と考えられる。TSGで観測した表層のTSの変動幅は8Nの南北、7N、9Nで最大であり、溶存酸素も過飽和状態となっていた。これらの観測結果は、鉛直方向の拡散が活発であったことを示唆している。
CTD観測の鉛直プロファイルでは階段状の構造が見られた。5Nの場合、層の厚さは約4dbar、浮力振動数は概算で10分強である。また、TSGの観測から、水平方向の波長は約0.01度=約1kmと見積もられた。
どのような流れが上記の構造をなしているのか、限られたデータからではあるが、2つの可能性を考えた。ソルトフィンガーあるいは内部重力波である。ソルトフィンガーと解釈するには、セルの形状があまりにも扁平すぎるのが難点である。内部重力波として解釈する際、参考になるのがMichael Le Bars等 (2015)の実験結果である。彼らの実験設定はミンダナオドーム付近の場に非常に類似している。安定成層の上の乱流対流層で、内部重力波が励起され、伝搬することを彼らは示した。この海域でその実験と同様のことが起きている場合、内部重力波が運動量を輸送している可能性も考えられる。観測結果と彼らの実験結果を比較し考察する。