[AOS30-P04] 若狭湾の海況モニタリング -ADCPによって測定された後方散乱強度の季節変動特性-
キーワード:モニタリングシステム、若狭湾、対馬暖流
若狭湾は日本海に面する湾の一つで、岸近くを流れる対馬暖流の影響を強くうける。この海域は、ブリやサワラなどを対象とした定置網漁や、カニなどを対象とした底びき網漁が盛んな好漁場として知られている。近年、漁場環境を把握するためにモニタリングシステムが構築された。このモニタリングシステムでは係留系やリアルタイムブイを用いて水温、塩分、流速などの物理環境が測定され、リアルタイムブイのデータは漁業者に活用されている。この研究では水中の懸濁物量の指標となるADCP(Acoustic Doppler Current Profiler, 超音波多層流向流速計)の反射強度の時間変動に焦点を当て、その変動特性の分析や水温、塩分などの物理観測データや漁獲量データとの比較を行った。解析の結果、ADCPの反射強度は夏季になると弱くなり、同時期に定置網の漁獲量は低下していた。また、そのときの水温や流速のデータは対馬暖流系水が定置網のある沿岸域への波及していたことを示唆したことから、夏季の対馬暖流系水の波及が定置網の一時的な漁獲量低下と密接に関わっていたと考えられた。