JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-BG 地球生命科学・地圏生物圏相互作用

[B-BG02] [JJ] 地球惑星科学と微生物生態学の接点

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[BBG02-P04] 関東地域の石灰岩・蛇紋岩土壌の林床における尿素処理効果

*深山 寛人1伊野 航1安井 万奈2萩谷 宏1 (1.東京都市大学、2.早稲田大学)

キーワード:アンモニア菌、アルカリ土壌、石灰岩、蛇紋岩、pH、アンモニア態窒素

窒素投与による攪乱が窒素サイクルに与える影響を調査するため, 亜熱帯から温帯域に広く分布する酸性土壌を有する生育地に尿素処理が行われてきた. 日本列島では酸性土壌が広範に分布しているため, その陸上植物群落の多くは酸性土壌上に成立したものである. 例えば, 酸性土壌を有する森林に尿素処理を行うとアンモニア態窒素濃度のみならずpHや含水率の急速な上昇がみられる. 土壌pHは7ケ月以内に対照区 (尿素施与を行っていない場所) のレベルに戻る. 一方、アンモニア態窒素濃度と含水率は, 尿素施与後1-2年をかけて漸次低下し対照区のレベルに戻る. 尿素施与後, 特定の菌類群の遷移的な発生がみられる. Sagara (1975) は, この化学生態学的菌群をアンモニア菌と定義している. 遷移前期のアンモニア菌は, アンモニア態窒素濃度, pH, 含水率のいずれもが高い値を示す間に発生する. 一方, 遷移後期のアンモニア菌は, アンモニア態窒素濃度と含水率が対照区のより幾分高い間に発生する. これらの知見から, アンモニア菌の発生には, pHの急激な上昇を伴うアンモニア態窒素濃度の急上昇が必須要因と推察されてきた (Yamanaka 1995; Suzuki et al. 2002, 2003; He & Suzuki 2004, 等). しかし,石灰岩土壌や蛇紋岩土壌のような日本列島の代表的アルカリ土壌においてさえも窒素投与の効果は一切調査されていない. それゆえ. 日原近辺の石灰岩土壌の林床 (珪質岩の基盤上に石灰質土壌が再堆積した層からなる; 奥多摩地区) 及び蛇紋岩土壌の林床嶺岡林道沿いの林床 (蛇紋岩の基盤とその粘土化して堆積した層よりなる; 鴨川地区)に2016年の3月末, 800 g/m2の尿素を施与し, 尿素施与後の菌類相と土壌理化学条件 (土壌温度, 含水率, pH, 無機態窒素濃度) の変化を追跡調査した. なお, 日原の林及び嶺岡林道の林の尿素施与前の土壌 (LF層及びHA層) のpHは, それぞれ8と10であった. 同尿素施与区では, アンモニア態窒素濃度と含水率が急激に上昇し, 次いで次第に低下した. 同アルカリ土壌でのアンモニア態窒素濃度の低下は, 酸性土壌でのアンモニア態窒素濃度の低下に較べて急激であった. 一方, アルカリ土壌では, 尿素施与伴うpHの変化はみられなかった. アルカリ土壌のHA層では, 酸性土壌での尿素施与の場合に較べて, 亜硝酸態窒素濃度の顕著な上昇がみられた. この硝化作用の強さの相違は, アルカリ土壌の特性の一つとも推察される. アルカリ土壌での尿素施与では, 尿素施与した酸性土壌で確認されている, 遷移前期のアンモニア菌Amblyosporium botrytis, Pseudombrophila petrakii, Coprinopsis echinospora, Lyophyllum tylicolor 及び遷移後期のアンモニアCalocybe constrictaHebeloma spoliatumが発生したが, アルカリ土壌に特異的なアンモニア菌の菌種は確認されなかった. 以上の結果から, アンモニア菌の増殖には, アンモニア態窒素濃度とpHの急激な上昇のうち, 前者による攪乱が主要因となっていると推察される.