JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[EJ]Eveningポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-CG 地球生命科学複合領域・一般

[B-CG09] [EJ] 顕生代生物多様性の変遷:絶滅と多様化

2017年5月23日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[BCG09-P04] 南中国雲南省南部の洪家沖セクションおよび小濫田セクションの上部エディアカラ-下部カンブリア系の岩相層序・SSF層序

*河野 聖那1磯崎 行雄1佐藤 友彦2張 興亮3 (1.東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系、2.東京工業大学地球生命研究所 、3.中国・西北大学)

キーワード:カンブリア紀、SSF、小濫田、洪家沖

エディアカラ紀末期からカンブリア紀最初期の短時間のうちに後生動物が急激な多様化を遂げたカンブリア紀の爆発的進化の中で,バージェス動物群や澄江動物群に先駆けて,small shelly fossils (SSF)が多様化した.SSF層序については, 極めて浅い場から深い盆地まで多様な堆積環境の複数のセクション(e.g. 梅樹村, 老林,肖灘など)をもつ南中国雲南省において,最も詳細な研究がなされてきた.本研究では,雲南省澄江の洪家冲(Hongjiachong) および小濫田(Xiaolantian) セクションにおいて,岩相層序およびSSF層序を検討した.両セクションの下部カンブリア系は,下位から順に,朱家青層 (Zhujiaqing Fm), 石岩頭層(Shiyantou Fm), および玉案山層(Yu’anshan Fm) から構成される (Sato et al., 2014 など). 朱家青層は,さらに待補部層(Daibu Mb), 中誼村部層(Zhongyicun Mb), 大海部層(Dahai Mb) に細分される.最下位の待補部層は主にドロマイトからなり,その上に累重する中誼村部層はSSFを多く含むリン酸塩岩を主体とする.さらに上位にはドロマイトを主体とする大海部層と黒色頁岩からなる石岩頭部層,そしてシルトからなる玉案山層が累重する.洪家冲セクションでは、SSFの第一および第二群集帯が識別されているが,両群集帯間の境界層準は正確に識別できていない.これまでに中誼村部層下部から第一群集が発見されたが,その上位の厚さ約20 mの区間からはSSFの産出は全く知られておらず,中誼村部層中部の中のマーカーとなる唯一の石灰質砂岩層から第二群集の産出が報告されているのみであった.

本研究では洪家冲セクションで採取した追加試料について化石抽出を試みた結果,以下の事柄が明らかになった.1)上述のマーカー砂岩より約1 m下位のリン酸塩岩層から第二群集を見いだした.2)マーカー砂岩から約4 m下位のリン酸塩岩層から極めて特徴的な構造を持つSSFを1個体見いだした.長さ約1.5 mmの長楕円形の化石破片で,おそらく左右対称の殻の中央部と片側にあたる。中央部は円筒状で、その片側に斜交した10枚以上の細長い小板が規則的に配列するひだ状構造をなす.その形態的特徴は、これまで南オーストラリアのカンブリア系下部(南中国の石岩頭・玉案山層相当層)からのみ報告されているSinosachites(Thambetolepis) delicates Jellに類似する.
小濫田セクションについては,これまでにカンブリア紀最初期の岩相およびSSF層序の先行研究がほとんど公表されていない.そこで本研究では,同セクションから採取した上部エディアカラ系から下部カンブリア系に及ぶ全層厚約87mのコア試料の岩相および化石について報告する.