JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ]Eveningポスター発表

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[G-02] [JJ] 災害を乗り越えるための「総合的防災教育」

2017年5月20日(土) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[G02-P02] 大学生の自然災害に対する意識調査(予察)

*伊藤 開1伊藤 孝1 (1.茨城大学)

キーワード:自然災害、東日本大震災、大学生、防災、聴き取り

2011年3月11日に起きた東日本大震災では,本震による被害のほかにも津波や度重なる余震などで多くの人が死傷した.全国で被害が報じられたため震災から6年がたつ今現在でも記憶に残っている人は多くいるだろう.本調査では,当時小・中学生,高校生であった人たちから体験や意見を聴き,震災の前後の地震に対する考え方の変化を明らかにすることを目的とした.対象は茨城大学の学生であり,平成5年から平成9年の生まれのものである.震災があった当時は小中学生,または高校生であり,学校教育で地震について学習している.
聴き取り調査を行った期間は,平成28年12月から平成29年2月で,調査人数は14名(男性7名,女性7名),震災当時の居住地は,茨城県水戸市2名,茨城県土浦市,ひたちなか市,常陸太田市,宮城県登米市,福島県伊達市,山形県山形市,群馬県桐生市,千葉県木更津市,新潟県加茂市,糸魚川市,山梨県北杜市,愛媛県松山市で各1名である.うち学校にいた人が10名,自宅にいた人が1名,その他が3名である.学校にいた人の震災直後の行動様式は,窓を開け机の下に隠れたあと揺れが収まり次第校庭に避難する場合と体育館避難する場合に分類できた.下校の仕方も住んでいる地区ごとにまとまって帰る場合と保護者が迎えに来てから帰る場合など,様々であった.自宅にいた人は倒れてきそうなものを押さえているという状況の人がいた.
地震と津波に対する恐怖心については,震災前はいずれも「全く怖くない」,「怖くない」という回答が大半であり,震災後の調査時点では,「怖い」,「とても怖い」と回答する傾向が見られた.また,日本の防災について,自分の居住地以外で起こった地震についても意識するようになったという意見を得た.避難訓練や防災教育についてはいつも同じ状況のみの訓練や教育になってしまっているということが分かった.
本調査では,大きな地震被害を受けることで,防災に対する意識が大きく変化することが浮き彫りになった.今後,いつ起こるか分からない自然災害に対し,その防災に対する意識・想いを風化させないまま生活できるような仕組み作りを考えていくことが,これからの課題といえるだろう.