JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] [JJ] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2017年5月20日(土) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[G04-P07] 高校理科教育での利用に向けた可搬式木星電波受信システムの開発

*佐々木 悠朝1熊本 篤志2三澤 浩昭3 (1.日本工業大学駒場高等学校、2.東北大学大学院理学研究科地球物理学専攻、3.東北大学大学院理学研究科惑星プラズマ・大気研究センター)

キーワード:木星電波、地上観測

高校教育にて利用可能な可搬式木星電波観測システムの開発を行う.
 近年,携帯電話や無線機器等の普及によって電波の利用は日常的で身近なものになっているが,このような人工的な電波は人工的な電波だけではなく,自然界には磁場・大気をもつ天体を放射源とする電波も存在する.太陽・木星周辺の磁化プラズマが電波を放射する過程の詳細について,現在も議論の途上にある未解明の問題が幾つも残されているが,太陽電波・木星電波の周波数帯は10MHzを超えていて地球電離圏を透過するので地上でも観測可能で,恒星・惑星電波の未解決問題を解決していく手段になりうる.木星電波のなかには数ミリ秒間に放射周波数が数MHz低下し,かつ20Hz前後の繰り返し周波数をもって出現するS-burstと呼ばれる現象があり,木星電離圏・磁気圏・イオ衛星をつなぐ磁力線の固有振動現象(木星電離圏アルフヴェン共鳴)との関連が議論されている.
 木星電波観測は高校生にとっておそらく新鮮かつ魅力的な理科教育題材となりうる可能性がある。高校教育へ導入するにあたり,市街地・住宅地では周囲の人工ノイズによって敷地内に設置したアンテナでは観測が難しい.そこで,市街地・住宅地から離れた山林・海浜にアンテナ・受信機をその都度持参・設置し,観測後,撤収するという方式を考える。このため,可搬式のアンテナ・受信機が必要となる.生きた理科教育教材として,未解明の問題にも迫れるような性能の観測システムの実現が望まれることから,本研究では,S-burstが観測可能なシステムを目標とする.以上より(a)可搬性(b)コスト(c)木星電波が観測可能な感度(d)観測周波数帯 (f)時間分解能を考慮し,開発・評価を行う.
 現在,受信機部分としてNASAのRadio JOVE プロジェクト(http://radiojove.gsfc.nasa.gov)が提供している木星デカメータ電波観測が可能な受信機の利用,またはワンセグTVチューナーをSoftware defined radioのソフトウェアによって制御する受信システムの2案で上記(a)-(f)の期待される性能比較を行い,最適なシステム構成の検討を進めている.
 本発表では,観測システム開発の計画の詳細,また進捗状況を報告する.