[HCG30-P03] 沖永良部島及び徳之島周辺の表層堆積物分布
キーワード:堆積物、粒度、沖永良部島、徳之島
沖縄島北方に位置する与論島,伊平屋島,沖永良部島,徳之島周辺の水深約1400 m以浅の海域155地点でグラブ採泥器を用いて取得した表層堆積物及びサブボトムプロファイラー(SBP)記録を用いて,底質分布の変化と堆積環境について検討した.島嶼部周辺の約600 m以浅の海域では,露岩またはサンゴ,貝,コケムシなどの生物性砕屑物を多く含む1φ以下の粗粒堆積物が分布する.これら結果は,この海域の堆積環境が強い水理営力を受けていることを示す.沖永良部島―徳之島西方海域の水深約600-800 mでは2~4φの砂質堆積物が分布し,水深が増加するに伴い細粒化する.与論海盆や沖永良部海盆などの水深800 m以深の海盆底には5~7φのシルト堆積物が分布する.砂質堆積物が分布する海域のSBP記録は,海底面の強い反射面のみ,または透過深度が20 m以下で成層した反射面を示す.一方,シルトが堆積する海盆底では,透過深度が約60~100 mの成層した反射面を示す.これら結果は,堆積環境が水深増加に伴い,水理営力の影響が弱くなり,水深800 m以深の海盆底には半遠洋堆積物が分布することを示す.一方,太平洋側海域では砂質堆積物が分布し,沖縄トラフ側海域の同水深の堆積物と比較すると,粗粒傾向を示す.太平洋側海域は,沖縄トラフ側海域と比較すると,開放的な海洋環境であるため,より深い海底まで水理営力が影響していると考えられる.沖永良部島の南東の水深約700 mの海台では,褶曲や断層を呈する下部層を,東方からの水理営力によって運搬された砂質堆積物によって形成された上部層が覆っていると考えられる.