[HGM04-P03] アナグリフ地形判読にもとづく日本列島の大陸棚の海底地形学図の作成
キーワード:地層処分技術、海底地形、大陸棚、アナグリフ、地形学図、日本列島
地層処分技術の信頼性向上に向けた課題の一つが、沿岸部付近における隆起・侵食に係る調査・評価技術の高度化である。この課題を検討するためには、陸上だけでなく、氷期に広く陸化する大陸棚において地殻変動や侵食の指標となる地形の分布やその特徴を把握する必要がある。そのための基礎資料には、1/100万スケールの日本第四紀地図(日本第四紀学会編、1987)以上に詳細な空間スケールで日本列島周辺の大陸棚の広がりとその地形的特徴を示した地形区分図が必要である。そこで本研究では、海底地形デジタルデータ(M7000シリーズ)から作成したアナグリフ画像の判読を行い、大陸棚の中地形スケールの形態的特徴に着目した海底地形学図を作成した。
海底地形学図には、大陸棚の広がりを規定する大陸棚外縁、大陸棚上の明瞭な傾斜変換線、海底谷、海底段丘面の分布等を示した。地形的特徴から推定される大陸棚外縁については、日本第四紀地図(日本第四紀学会編,1987)とは異なり、大陸棚と大陸斜面の境界付近に位置する明瞭な遷急線の中で、最も海側に連なるものとした。海底谷については大陸棚を開析するものとそれ以外のものとに区分した。また、大陸棚外縁と海底谷についてはGIS表示できるよう、シェープファイル化した。
海底地形学図を俯瞰することにより、(1) 大陸棚の広がりと大陸棚外縁の深さの地域差、(2) 大陸棚の広がりが海底谷の谷頭部や地すべり滑落崖の頂部が連なる開析前線によって決められている場があること、(3) 海底段丘面の発達に係る地域差、といった大陸棚の地形的特徴に係る基礎情報を読み取ることが可能となった。今後の課題としては、海底地形学図に海底活断層、陸棚谷、潮流地形といった地形の判読結果を盛り込むこと、既存研究に示された陸域の海成段丘や活断層の分布を取り込み陸域と海域をシームレスに繋ぐ地形学図を作成すること、などが挙げられる。
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「平成28年度地層処分技術調査等事業(沿岸部処分システム高度化開発)」の成果の一部である。
引用文献
日本第四紀学会編 (1987) 日本第四紀地図, 東大出版会.
海底地形学図には、大陸棚の広がりを規定する大陸棚外縁、大陸棚上の明瞭な傾斜変換線、海底谷、海底段丘面の分布等を示した。地形的特徴から推定される大陸棚外縁については、日本第四紀地図(日本第四紀学会編,1987)とは異なり、大陸棚と大陸斜面の境界付近に位置する明瞭な遷急線の中で、最も海側に連なるものとした。海底谷については大陸棚を開析するものとそれ以外のものとに区分した。また、大陸棚外縁と海底谷についてはGIS表示できるよう、シェープファイル化した。
海底地形学図を俯瞰することにより、(1) 大陸棚の広がりと大陸棚外縁の深さの地域差、(2) 大陸棚の広がりが海底谷の谷頭部や地すべり滑落崖の頂部が連なる開析前線によって決められている場があること、(3) 海底段丘面の発達に係る地域差、といった大陸棚の地形的特徴に係る基礎情報を読み取ることが可能となった。今後の課題としては、海底地形学図に海底活断層、陸棚谷、潮流地形といった地形の判読結果を盛り込むこと、既存研究に示された陸域の海成段丘や活断層の分布を取り込み陸域と海域をシームレスに繋ぐ地形学図を作成すること、などが挙げられる。
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「平成28年度地層処分技術調査等事業(沿岸部処分システム高度化開発)」の成果の一部である。
引用文献
日本第四紀学会編 (1987) 日本第四紀地図, 東大出版会.