[HQR05-P01] 備讃瀬戸の海域沖積層層序について―音波探査記録の再検討―
キーワード:沖積層、瀬戸内海、音波探査記録
日本各地の沖積層層序について、再検討が進行中である。沖積平野における検討は主としてボーリング試料の分析に基づいて行われた。一方、海域の沖積層層序については、いまだ本格的な再検討は行われていない。今回、検討を行ったのは瀬戸内海中部の備讃瀬戸海域の沖積層層序である。音波探査装置Bubble Pulserを用いて得られた記録を再検討した結果、沖積層上部の海成層内に新たに音波反射面が確認できた。この反射面は現海況下の主に砂堆からなる砂質堆積物と下位層を分けるものであり、これは最終氷期後の海水準上昇により備讃瀬戸が海域化して以降で最も大きな水理環境変化、すなわち東西備讃瀬戸の開通(もしくは個々の島嶼間の海峡の開通)を反映したものと考えられる。この反射面より下位には内湾性の泥層が、上位には潮流の影響下で堆積する砂層が分布する。