JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-TT 計測技術・研究手法

[H-TT24] [JJ] 環境リモートセンシング

2017年5月22日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[HTT24-P01] 複数衛星の時系列観測データによるバングラデシュの長期間海岸線変化検出

*はりぷ あいふまる1郭 栄珠2近藤 昭彦3 (1.千葉大学融合理工学府、2.水災害・リスクマネジメント国際センター、3.千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

バングラデシュ人民共和国の約80%はガンジス川、ブラマプトラ川、メグナ川から形成された沖積低地からなる平坦地の平野である。また,モンスーン地域であるバングラデシュは,雨季と乾季の差が明瞭であり、雨季には水位の上昇にともない洪水が頻発し,大量の土砂を下流に供給する。一方で,河口の沿岸部では,侵食と堆積のプロセスが活発で,数年という短い期間に大きく沿岸部の形状が変化する。さらに近年では,サイクロンの大型化,来襲頻度の変化により,高潮・強風被害が拡大し,海岸線の変化,海岸堤防の決壊による農地への塩水の浸入も発生している。長期間を渡った海岸線の変化を把握することは,堆積・侵食プロセスの把握だけでなく,近年の極端気象の影響を見る上でも重要な課題である。本研究の目的は、1993年から2016年までの海岸線変化を抽出し,その時系列変化と水文事象との関係を明らかにすることである。
解析には複数の衛星データ(主にJERS-1SARデータとALOS PALSARデータ)を用いて,地理情報システム (GIS)上で海岸線のトレースを行った。また,ガンジス河口の地形変化と降水量およびガンジス川の水位との相関関係を分析した。その結果、ガンジス河口では侵食とともに、堆積も生じていることが1993年から2016年までの衛星画像から判読できた。ガンジス川の河道の両岸では侵食傾向を示したが、川の中央部では中州が形成され堆積傾向を示した。河道では侵食と堆積がともに活発で、短い時間で砂州の消滅や出現、河道の変化が見られた。対象期間で河口付近の海岸では侵食もしくは堆積傾向が続いていた。
今後の課題としてサイクロンのような突発的なハザードによってどの程度地形変化が(現在も)進行するのか、最近のALOSPALSAR-2とLANDSAT-8のデータも含めて引き続き検討を行う予定である。さらに、現在のガンジス河口域における周期的な地形変化は将来気候変動による海岸災害の予測にも重要な要素であるため、社会経済的要因も考慮した統合的な影響評価・分析が最も重要な課題の一つである