JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS02] [EE] 火山噴煙・積乱雲のモデリングとリモートセンシング

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS02-P06] 桜島火山近傍LIDAR観測による火山噴出物の散乱特性

*日向 洋1井口 正人2鍵山 恒臣1 (1.京都大学大学院理学研究科、2.京都大学防災研究所附属火山活動研究センター)

キーワード:Volcanic smoke colored white, Volcanic smoke include volcanic ash, LIDAR, Backscattering intensity, Depolarization ratio, Sakurajima Volcano

火山から遠方に設置されたLIDAR (Light detection and Ranging) によって噴火後に大気中を浮遊している火山灰が観測され, 粒子によるレーザー光の散乱を示す散乱強度や粒子の非球形度を示す偏光解消度について議論されてきた (例えば, Sassen et al., 2007). 本研究では, 2009年以降, 火山噴火が多発する桜島火山の昭和火口の上空を対象としてLIDAR観測を行い, 火山灰を含む噴煙および白色噴煙の散乱強度と偏光解消度の時間変化および空間分布を明らかにした.
白色噴煙は偏光解消度の最頻値が火口上空において0.05~0.10と雲と同様の値となったことから,水滴からなることが確かめられた. 散乱強度は火口周辺で最大値となり, 移流される方向に離れていくにしたがって, 低下するが, 偏光解消度は増加した. 水滴の蒸発速度を求め, 乾燥した大気との接触により火口上空では多かった水滴が蒸発し, 非球形粒子の火山灰粒子の割合が相対的に高くなっていったと推定した.
一方, 爆発時に放出された火山灰を含む噴煙の偏光解消度は最頻値が0.40~0.45と, 雲および白色噴煙と比較して大きくなった. 特に, 爆発噴火発生直後の火口上空では最大0.72の偏光解消度が得られた. この高い偏光解消度は火口から離れると, 急激に低下し, 0.45~0.50の値に収束した. 火口上空は非球形粒子である火山灰濃度が高く, 高い偏光解消度が得られたものと考えられる. 一方, その低下については, 火山灰粒子の拡散および落下による火山灰粒子の濃度の減少や, 噴煙上昇に伴う上昇気流または噴煙の冷却により生成された水滴の混入がその原因と推測できる.