JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EJ]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS09] [EJ] 津波堆積物

2017年5月23日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS09-P12] 地中レーダを用いた台湾東部における津波堆積物層の検出

*祖慶 真也1中村 衛2陳 浩維3 (1.琉球大学大学院理工学研究科、2.琉球大学理学部、3.台湾國立中央大學)

キーワード:津波堆積物、台湾、地中レーダ

古記録に残されていない時代の津波を探る上で津波堆積物は非常に有力な情報源である。近年、台湾東部地域では津波堆積物が発見されており(Ota, 2013; Lallemand et al., 2015)、津波の襲来に関する古文書記録が少ない台湾において、津波堆積物の分布を調査することにより過去の津波の襲来時期や遡上高および浸水域を知ることができる。本研究では、地中レーダ(Ground Penetrating Radar:GPR)を用いて地層中の電磁波散乱体の分布を探査し、津波堆積物を効率的に明らかにすることが可能か試みた。

調査は台湾國立中央大學調査チームと共に、台湾南東部の成功鎮で2016年8月18日〜21日にかけて実施した。

成功鎮郊外の三仙里の段丘(標高約15〜20m)の2箇所(海側、陸側)で調査をおこなった。海側は南北に伸びた長方形状の測線(測線長71m×35m)で調査を実施した。山側は十字状の測線で実施した。各測線で周波数500MHzと250MHzでGPR測定をおこない、さらにリファレンス点として測線上でハンドオーガーによる簡易掘削を実施した。得られた柱状断面図とGPRの反射プロファイルを比較し、地下構造を推定した。解析の結果、周波数250MHzでのGPRプロファイルでは深さ約1mにある堆積層と基盤層との境界の分布を検知できた。また、東西走向の2測線のプロファイルを比較すると、海側よりも陸側の測線で比較的多くの散乱体が分布していた。これらの測線では周波数500MHzのときよりも250MHzのときのほうが散乱体をより多く検知できた。簡易掘削の結果では、この散乱体に相当する位置で直径約10〜40cmの巨大なサンゴ礫、および直径数cmのサンゴ片や二枚貝が密集しているのを確認できた。一方、周波数500MHzでのGPRプロファイルでは散乱体が多く検出された。500MHzで見られた散乱体のある場所からは数cmサイズのサンゴ片や二枚貝が見つかった。南北に延びる2測線でもGPR探査により海側よりも陸側の方で散乱体が多く発見された。

電磁波の波長と分解能から考えると、高周波帯で検知した散乱体は局所的に集中する数cmサイズの礫の密集場所、または約10cmサイズの礫の分布を示していると考えられる。低周波帯で検出している散乱体は約10cmサイズの礫を検出していると考えた。これらのことから、複数の周波数帯で堆積層を調べることで、地下にある堆積物層内の礫のサイズ推定ができることがわかった。