JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS13] [JJ] 山岳地域の自然環境変動

2017年5月25日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS13-P05] 地下レーダー(GPR)を用いた雪氷体の地下構造

*森 義孝1奈良間 千之2高玉 秀之1 (1.新潟大学大学院自然科学研究科環境科学専攻、2.新潟大学理学部理学科)

キーワード:地下レーダー探査、雪氷体、反射特性、アイストンネル

天山山脈北部地域(キルギス共和国領)のテスケイ山脈では,2008年に氷河湖からの出水が生じ3名の犠牲者と農地や道路などに被害がでている(Narama et al., 2010).これらの洪水は「短命氷河湖」と呼ばれる,わずか数ヶ月~1年で出現・出水するタイプの氷河湖から生じていることがわかってきた.氷河前面のデブリ地形内部に発達するアイストンネル(空洞)が冬季に閉鎖することで,春季の融雪水が流出されず初夏の氷河の融解も加わり,突然かつ急激に氷河湖が出現すると考えられている.しかし,出水に関わるアイストンネルの発達過程,位置,規模,開放・閉鎖などの実態は明らかでない.
そこで本研究では,短命氷河湖を引き起こすアイストンネルの位置や規模などを含めた雪氷体の地下構造を把握するため,地下レーダー探査(Ground Penetrating Radar:GPR)を使用し,雪氷体の堆積物ごとの反射特性の検討を試みた.調査地域はアイストンネルが多数発達するイニルチェック氷河,過去にアイストンネルから出水したテスケイ山脈のカラ・クンゴイ氷河,キルギス山脈のアドギネ氷河である.その他に,積雪を含む雪渓での反射特性を考慮するため,白馬大雪渓上でGPR測定をおこなった.GPR測定の結果,空洞の規模によって反射特性に違いが見られた.この反射特性をアイストンネルの位置や深さが不明瞭なカラ・クンゴイ氷河に用いた.5地点の側線結果より,地表面から深度2~8mで高さ1~3m程度の小規模空洞の反射が長さ約200m続いていると推定できた.