JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS14] [JJ] ジオパーク

2017年5月21日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS14-P10] ジオパーク秩父の露頭と哺乳類化石-国指定天然記念物-

*富田 貴夫1吉田 健一1 (1.秩父まるごとジオパーク推進協議会)

キーワード:秩父、国指定天然記念物

2016年ジオパーク秩父内の6つの露頭と埼玉県立自然の博物館が所蔵する9件の哺乳類化石が、天然記念物に指定された。名称は「古秩父湾堆積層及び海棲哺乳類化石群」である。露頭では、秩父盆地の発生から終焉までの地史を知ることができる。

地層と複数の化石が一緒に国の天然記念物に指定されるのは、日本で初めて。動物化石としては、国内3例目。哺乳類化石としては、全国で初めて。

明治以来の研究成果と地元の人々によって守られてきた露頭や化石が、法律で守られることになった。秩父ジオパーク推進協議会にとって、大きな追い風であり、新たなストーリー作りや今後の保全活動に役立つ。

6つの露頭 「前原(まえはら)の不整合」「犬(いぬ)木(き)の不整合」「取方(とりかた)の大露頭」「ようばけ」「新田(あらた)橋(ばし)の礫岩露頭」「大野原パレオパラドキシア化石産地」

哺乳類化石  パレオパラドキシア:化石産地 秩父市大野原(おおのはら) 小鹿野町般若(はんにゃ) 小鹿野町三山(さんやま) 秩父市寺尾(てらお) 皆野町大淵(おおふち) 秩父市栃(とち)谷(や)

ヒゲクジラ:化石産地 秩父市大野原 秩父市蓼沼(たでぬま) 小鹿野町般若

私たちは、今回指定された露頭に解説看板を設置し、ジオツアーで訪れている。それらの露頭は、明治以来の研究地であるにも関わらず、地元の人にとってなじみの薄いものだった。秩父ジオパーク推進協議会の活動により、現在では多くの人が知るようになった。秩父盆地東側の「美の山」山頂から、盆地が一望できる。その光景は、約1500万年前の「古秩父湾」を想像させる。

我々は、小中学生の化石採集体験や講座を実施、中学校の理科室への化石展示の支援等を行っている。「おがの化石館」において、化石の模型作りを行っている。講座では、脊椎動物化石を発見する手がかりを学ばせる。それは、岩石の表面に現れる骨の海綿質構造等に注目することである。さらに、発見した場合の対処方法等も伝えている。秩父ジオパーク推進協議会は、貴重な化石が失われることなく、新たな発見につながることを願っている。