JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS15] [JJ] 地球流体力学:地球惑星現象への分野横断的アプローチ

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS15-P03] 地球外核最上部の安定成層におけるトロイダル背景磁場の影響を受けた赤道波

*中島 涼輔1吉田 茂生2 (1.九州大学 大学院理学府 地球惑星科学専攻、2.九州大学 大学院理学研究院 地球惑星科学部門)

キーワード:外核最上部、安定成層、赤道波、MHD浅水波方程式

地球の外核最上部には安定成層が存在する可能性は以前から指摘されており(例えば、 Buffett, 2014)、地震学による観測的証拠も見つかってきている(例えば、Helffrich and Kaneshima, 2010)。安定成層があると水平流が卓越するようになるので、大気や海洋で用いられている静水圧近似を用いた力学に磁場の影響を加えれば、外核最上部の流体運動に応用できることが予想される。
本研究では、そのような外核最上部での赤道域の波動について考えた。この研究を始めるきっかけとなったのは、赤道付近の地球磁場には特徴的な変動があることが知られているからである。たとえば、Chulliat et al.(2015)は、永年加速(secular acceleration)から約6年周期の赤道付近に局在する定在波的な変動を見つけた。また、Finlay and Jackson(2003)などの多くの研究では、地磁気の西方移動は赤道付近で顕著であることが示されており、外核の赤道域の流れの様子は、非常に興味深い。
今回用いる基礎方程式は、線形化した非散逸のブシネスクMHD方程式である。さらに、静水圧近似と赤道ベータ面近似を用い、東西方向成分のみの背景磁場を仮定する。これらの近似により、水平方向と鉛直方向に変数分離ができる。特に、水平方向の式は、MHD (magnetohydrodynamics) 浅水波方程式(例えば、Gilman, 2000; Zaqarashvili et al., 2008など)に一致する。
解析的、および数値的に分散関係と固有関数を求め、東西磁場の赤道波に対する影響を調べた。
まず、一様な東西磁場が存在する場合を考える。このとき、慣性重力波やロスビー波などは、磁場なしの場合に比べ、周波数が大きくなり、より赤道に局在するようになる。また、中緯度ベータ面近似の場合に現れるMCロスビー波は赤道にはトラップされないことが分かった。
次に、東西磁場に緯度依存性を持たせると、アルフベン波が連続的な固有値を持つようになる。また、固有モードの東西位相速度とアルフベン速度が一致する緯度で共鳴が発生する。