[MIS15-P04] シースプレー測器による海上観測計画:海面砕波と海洋性エアロゾル生成の時空間構造を捉える
キーワード:シースプレー観測、波浪境界層、海洋性エアロゾル
台風シミュレーション研究などで最近では大気・海洋・波浪結合領域モデルがよく使われているが,将来的には大気側にはエアロゾルプロセスを海洋側には低次生態系プロセスを組み込み,大気海洋間フラックスによる包括的な影響の整合性検証をすることが期待されている.従来の大気化学研究では衛星や地上ライダー観測によって上空数百mから数kmにかけてのエアロゾル分布と雲物理の関係解明を推進してきた.ところが海洋性エアロゾルの生成源である海面近傍(海面から海上数mまでの範囲)のシースプレー観測は国内ではあまり行われていない.そこで本研究プロジェクトでは,海上観測プラットホーム(係留ブイ・海上観測塔)のような強風・塩水飛沫にさらされる環境下において、シースプレーの粒径別個数の時系列を計測できるような測器の実用化を目指している.2016年度には防水・軽量・省電力型の光学粒子計とロガーの一体型測器の試作機を独自に調達した.この試作機の特徴は(i)将来的には超音波乱流風速計と同期させてフラックス測定(渦相関法)ができるようにシースプレーの測定間隔が0.1秒になっている,(ii)風波の一つ一つの砕波による空気中の粒子数変化や水面波との位相関係を調べる事ができるように3軸加速度計を内蔵していることである.2017年度には,試作機および観測システムの安定度および測定精度の検証・将来的なフラックスに向けた技術的な問題点の抽出と解決方法の検討する.具体的には,京都大学防災研究所白浜海象観測所(和歌山県田辺中島高潮観測塔)や東京大学大気海洋研究所国際沿岸海洋研究センター(岩手県大槌湾内係留ブイ)との共同利用・研究協力制度を使って初期試験を行う.