[MIS18-P02] 夏季雷雲起源高エネルギー放射線の発生位置
キーワード:高エネルギー放射線、雷雲、富士山
2013年および2016年の夏に富士山頂で高エネルギー放射線の観測を行った。その結果、2013年7月26日、8月5日、2016年8月26日において、雷雲の接近に伴って、およそ10 % ガンマ線量の増加がみられた。X-band MP radar解析からいずれの事例も雷雲の衰退期に発生しており、雷雲下部の負電荷領域が、縮小した状態だった。負電荷が形成する電場は山頂で計測できるが、火口縁上の電場値として-30 kV/m程度の電場しか計測されていないことからも、Gurevichら(1992)が提唱するRelativistic runaway electron avalanche (RREA)仮説は、この負領域で発生できない。一方、負電荷の縮小時には、雷雲上部の正電荷は十分に残されていると推察される。この上部の正電荷がRREAを発生させた可能性がある。