[MIS19-P09] 富士山麓森林におけるオゾンフラックスの通年観測
キーワード:オゾン、フラックス、森林
【はじめに】森林生態系における微量気体の吸収・放出は炭素循環や気候変動に直接的・間接的な影響を及ぼす(Ollinger et al., 2002)。森林生態系内部の反応性窒素ガスおよびオゾンの吸収・沈着・放出量とその時間変動の要因を知るには、フラックスおよび森林内部における濃度変化の日変化・季節変化を明らかにすることが有用である。本発表では、森林生態系におけるオゾンフラックスの通年観測を富士山麓森林にて行った結果を報告する。
【方法】富士吉田アカマツ林微気象観測タワー(FJY)にて、CO2濃度とO3濃度を2016年1月から12月にかけて観測し、物質の濃度勾配より輸送量を計測する傾度法を用いてこれら微量気体のフラックスを計測した。微気象観測タワーと樹冠の高さはそれぞれ32mと約25 mである。O3とCO2の計測には、それぞれ紫外吸収分析装置(49i, Thermo Scientific)と赤外吸収分析装置(Li-820, Li-cor)を用いた。大気サンプル口は、アカマツ林の樹冠上である26 mと34 mに設置し、各高度の大気をPFAチューブで地上の分析装置まで吸引しバルブを用いて交互に各5分間計測を実施した。同時に高度26.5 mに設置したクローズトパス非分散型赤外線吸収分析装置(LI-6262, Li-cor)により、CO2フラックスを渦相関法により求め(森林総合研究所CO2フラックス観測データ)、傾度法で求めたCO2フラックスと比較した。
【結果・考察】2016年6月~12月の日中平均(9:00-16:00)CO2フラックスは、傾度法と渦相関法によりそれぞれ-0.10±0.08 mol m-2 d-1、-0.25±0.16 mol m-2 d-1(±の後ろの数値は観測値の標準偏差)と得た。傾度法で得られた日中平均CO2フラックスは渦相関法で得られた値に比べて絶対値が小さい値を示したが、エラーバーの範囲にて一致した。O3濃度は5月に最大となる季節変化を示した。一方日中平均(9:00-16:00)O3沈着フラックスは7月に最大となる季節変化を示した。 富士山麓森林におけるO3沈着フラックスの最大となる時期は、O3濃度が最大となる時期に比べて遅れて現れることが明らかとなった。これは北海道天塩の針広混交林にて観測された結果(高木, 2016)と同様であった。
参考文献 Ollinger et al., 2002, Global Change Biology 8, 545-562.
高木健太郎, 2016, 大気環境学会年会, 150.
【方法】富士吉田アカマツ林微気象観測タワー(FJY)にて、CO2濃度とO3濃度を2016年1月から12月にかけて観測し、物質の濃度勾配より輸送量を計測する傾度法を用いてこれら微量気体のフラックスを計測した。微気象観測タワーと樹冠の高さはそれぞれ32mと約25 mである。O3とCO2の計測には、それぞれ紫外吸収分析装置(49i, Thermo Scientific)と赤外吸収分析装置(Li-820, Li-cor)を用いた。大気サンプル口は、アカマツ林の樹冠上である26 mと34 mに設置し、各高度の大気をPFAチューブで地上の分析装置まで吸引しバルブを用いて交互に各5分間計測を実施した。同時に高度26.5 mに設置したクローズトパス非分散型赤外線吸収分析装置(LI-6262, Li-cor)により、CO2フラックスを渦相関法により求め(森林総合研究所CO2フラックス観測データ)、傾度法で求めたCO2フラックスと比較した。
【結果・考察】2016年6月~12月の日中平均(9:00-16:00)CO2フラックスは、傾度法と渦相関法によりそれぞれ-0.10±0.08 mol m-2 d-1、-0.25±0.16 mol m-2 d-1(±の後ろの数値は観測値の標準偏差)と得た。傾度法で得られた日中平均CO2フラックスは渦相関法で得られた値に比べて絶対値が小さい値を示したが、エラーバーの範囲にて一致した。O3濃度は5月に最大となる季節変化を示した。一方日中平均(9:00-16:00)O3沈着フラックスは7月に最大となる季節変化を示した。 富士山麓森林におけるO3沈着フラックスの最大となる時期は、O3濃度が最大となる時期に比べて遅れて現れることが明らかとなった。これは北海道天塩の針広混交林にて観測された結果(高木, 2016)と同様であった。
参考文献 Ollinger et al., 2002, Global Change Biology 8, 545-562.
高木健太郎, 2016, 大気環境学会年会, 150.