JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS22] [JJ] 地球掘削科学

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS22-P03] DCDA(Diametrical Core Deformation Analysis)の解析方法の改良とそれを用いた原位置応力の推定

*栢本 悠大1林 為人1,2村田 澄彦1伊藤 高敏3 (1.京都大学工学部地球工学科、2.高知コア研究所、3.東北大学流体科学研究所)

キーワード:DCDA、掘削コア試料、主応力

原位置応力の方向と大きさを知ることは地球科学や地球工学において非常に重要なものとなっている。従来のDiametrical Core Deformation Analysis (DCDA)は,坑井に垂直な面内の最大応力と最小応力の方向とその差応力を求めることができる方法である。鉛直坑井の場合は、それらは最大水平主応力SHmaxと最小水平主応力Shminとなる。DCDAはコアリングの際の直径方向のコアの変形に基づいており、測定が容易、理論が単純、コアの非破壊試験であるといった利点を持つ方法である。しかしながら、この手法ではSHmaxとShminのそれぞれの大きさを求めることができない。そこで我々は、同じコアの直径データを使いながらも、SHmax、Shminの大きさとそれらの方向を、鉛直坑井と傾斜坑井のどちらでも求めることができる新しい解析方法を提案する。またこの新しい方法を検証するために、IODP Expedition 319で採取されたコアの直径計測データを用いてその解析を行い、原位置応力を推定した。  

 この新しい解析方法は、主応力が、水平面内と鉛直方向に存在するという仮定に基づいている。その仮定から、原位置応力の解放に伴うコアの直径変化を、SHmax、Shminそして鉛直応力Svの理論式で表すことができ、その式でコアの直径測定結果にフィッティングすることでSHmax、Shminの大きさとその方向を数値解析的に求めることができる。今回の研究では、南海掘削のIODP Expedition 319におけるサイトC0009の海底下深度約1540mでコアリングされた三つのコアに、この新しい解析方法を適応させて、原位置応力の方向と大きさの推定を行った。さらに、同深度においての他の測定法での原位置応力の測定結果との比較を行った。

 その結果、SHmaxの方向はN140°、SHmaxとShminの大きさはそれぞれ、約65MPa、42MPa (3コアの平均)となった。得られたSHmaxの方向は、坑井のブレイクアウトから読み取られた結果と概ね一致した。そして推定したSHmaxとShminの大きさは理にかなった結果と考えられており、他の測定方法による結果と同じ応力レジームを示した。このことから、この新しい解析方法は妥当なSHmaxとShminを推定することができ、有用であるといえる。