JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS23] [JJ] 古気候・古海洋変動

2017年5月23日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MIS23-P12] 別寒辺牛湿原泥炭コアのミズゴケセルロース酸素同位体比を用いた過去2000年間の古気候復元

*櫻井 弘道1山本 正伸1関 宰2大森 貴之3 (1.北海道大学大学院地球環境科学研究院、2.北海道大学低温科学研究所、3.東京大学総合研究博物館)

キーワード:泥炭、セルロース、酸素同位体

降水の酸素同位体比は気温や降水量といった気候情報を含んでおり、過去の酸素同位体比を保存する植物のセルロースの酸素同位体比を測定することで古気候復元が可能となる。中国北西部のHani湿地では、泥炭コアのセルロースの酸素同位体比を用いて古気候復元が試みられ、酸素同位体比の変動が気温の変動を反映していると解釈された(Hong et al., 2009)。しかし、同じ層の泥炭サンプルであっても、植物種によって酸素同位体比は異なり、特にミズゴケは他の植物に比べてセルロースの酸素同位体比は低く、その泥炭サンプルの植物種の割合によっても酸素同位体比は変化する(山本・関,未公表データ)。したがって、降水同位体比の変動を見たい場合には,泥炭サンプルを植物種によって仕分け、植物種ごとに酸素同位体比を測定する必要がある。
 本研究では、泥炭コアに含まれるミズゴケの遺骸からセルロースを抽出し,その酸素同位体比を分析し,古気候復元を試みた。また、ミズゴケと他の植物の酸素同位体比の差から過去の相対湿度の評価を試みた。別寒辺牛湿原にて泥炭コアを採取し、得られた約4 mの泥炭コアからミズゴケ及び、チシマノガリヤス、ツルコケモモを選別し、セルロース抽出を行い、酸素同位体比を測定した。また、ミズゴケを用いて14C年代測定を行った。ミズゴケのセルロース酸素同位体比と14C年代測定の結果から,約1500年前に寒冷期,約1100年前に温暖期があったことが示された。また、チシマノガリヤス、ツルコケモモとミズゴケの酸素同位体比の差とミズゴケの酸素同位体は負の相関関係を示し,温暖期に相対湿度が高く,寒冷期に相対湿度が低い傾向があったことが示唆された.