[MIS23-P26] 不可能を可能に!:バルト海の最も深い海盆から得られた膨張コアの後期更新世〜完新世年代決定の誤差解明
キーワード:14C、IODP、年代モデル、堆積物の膨張、古地磁気
IODPサイトM0063(459 mbsl)のコア試料は、バルト海の最も深い海盆から採取され、有機物とガスが多く含まれているラミナ層が特徴の堆積物である。掘削オペレーションでは、最初のホールで伸びた堆積物の欠損率が高かったため、それ以降は、3.3mのコアのストロークを約2mにし、1m以上の膨張量に対処できるよう、バッファーを設ける掘削作業を行った。ほとんどのコアは、コアバレル中に完全に堆積物が充填されており、体積膨張が1.5倍以上に達していたことを示した。コアの最上部1mのガンマ線密度の値は非常に低く、指数関数的に減少している傾向が全体的に認められたので、膨張は主に上端部に限られていると考えられる。また堆積物の磁化率も指数関数的な変化傾向を保持しているので、単純な線形補正による膨張補正は不適切であると提案する。本研究では新たに提唱した手法により、ホールM0063C、Dの平均ガンマ線密度のプロファイルを用いて、膨張関数を得た。それらをコア毎に適用し、深度スケールを実際に記録されているストローク深度までに戻す。本発表では、多数の14C年代と、平均ガンマ線密度のプロファイルの標準偏差から、深度スケールの誤差とリザーバ効果の誤差が堆積速度にもたらした影響を調べた結果について発表する。