JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE]Eveningポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-TT 計測技術・研究手法

[M-TT38] [EE] 統合地球観測システムとしてのGPS/GNSSの新展開

2017年5月23日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[MTT38-P02] GNSS可降水量とMSMを用いた水蒸気ラマンライダーの校正

*柿原 逸人1矢吹 正教1津田 敏隆1塚本 誠2長谷川 壽一2 (1.京都大学生存圏研究所、2.英弘精機株式会社)

キーワード:水蒸気、ライダー、GNSS、MSM

豪雨などの局所的な大気現象の理解や、気象予報精度の向上のためには、高い時空間分解能での水蒸気の定量計測が欠かせない。光を使ったリモートセンシング手法であるラマンライダーは、水蒸気の鉛直分布計測に適している。ラマン散乱信号から水蒸気量を推定するには、窒素分子や水蒸気分子のラマン散乱波長の受光効率等に関係した校正係数を定める必要がある。一般的には、ラジオゾンデのような水蒸気混合比を観測する別の手法と比較することにより校正係数を決定している。そのため、ラジオゾンデ観測ができないような場所においては、ラマンライダーによる高精度の水蒸気計測を行うことが難しい。

本研究では、全地球航法衛星システム(GNSS)を用いて推定される可降水量と気象庁メソスケールモデル(MSM)を利用した水蒸気ラマンライダーの校正手法を提案する。本手法ではMSMとラマンライダー観測を統合して得られる水蒸気混合比の鉛直分布積算量が、GNSS可降水量と一致するようにして校正係数を決定する。この手法は、観測可能な高度の制約があるライダー信号においても適用できるという特徴がある。例えば、紫外線C(UV-C)領域のレーザーを使用したラマンライダーは、昼間の太陽背景光の影響を受けないという利点を有するが、UV-C領域におけるオゾンの強力な吸収効果により観測可能高度は1~3km以下となる。また、雲があるときは、ライダー信号の減衰により雲高度以上の解析ができなくなるが、本手法では雲底下までの水蒸気分布を用いて校正係数が導出できる。本稿では、提案する校正手法の校正係数推定精度に関して、シミュレーション研究に基づき説明する。