JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ]Eveningポスター発表

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[O-06] [JJ] 日本のジオパーク-しくじりから見えてくるジオパークの理想像-

2017年5月20日(土) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[O06-P07] ゆざわジオパークにおける地域の遺産の取り扱いと評価について

*山崎 由貴子1沼倉 誠1金野 寛子1金 潔1中三川 洸太1加賀美 典明1 (1.湯沢市ジオパーク推進協議会)

キーワード:ジオパーク、ジオサイト、地域の遺産

ゆざわジオパークには、379のジオポイントと16のジオサイトが存在する。ゆざわジオパークでは、ジオポイントとは『地球科学的に価値の高い地質、地形、景観の場所やもの』『地元の人々が大切にしている地形、景観、歴史的記念物・史跡、風習、無形・有形文化財などの場所やもの』『観光者などの県外者が感動する場所やもの』としており、ジオサイトは『一定数のジオポイントが共通のテーマで集まっている一定の範囲の地域』と定義している。これらはユネスコ世界ジオパークネットワークや日本ジオパークネットワークが表現するジオサイトと定義が違っているため、今後定義の検討が求められている。
ゆざわジオパークのジオポイントは、2010年からあきた地球まるごと博物館ネットワーク会員によって行われた湯沢市ジオサイト候補地学術調査を基に設定された。本調査は2014年までの5年間行われ、それぞれの年度ごとに学術調査報告書としてまとめられ湯沢市ジオパーク推進協議会事務局に保管されている。地域の人々が大切にしてきたもの、日常の風景としてみてきたものの価値を再発見してもらうため、湯沢市全域を調査し、様々な場所やものを設定した。これらの包括的に管理し、更に現状を把握するため、ゆざわジオパークでは保護・保全方針の策定と、ジオポイント保全リストの作成を行った。また、それぞれのジオポイントについて保護・保全方針や現状を広く発信していくため、各ジオポイントについて所在地や概要などが書かれたジオポイントカルテを作成中である。
“ジオサイト”の世界的基準を統一するためには、ゆざわジオパークにおける“ジオサイト”をユネスコ世界ジオパークネットワークが表現する“ジオサイト”と同等の地質学的価値や保全制度がある場所のみに限定すべきだろう。また“地球の”という意味の接頭語である“geo”がついた言葉を歴史的記念物や史跡、文化財などに使うことは、混乱を招く原因となるのも事実である。しかし、“ジオサイト”と定義されなかった場所やものに価値がないわけではない。また、ジオパークが価値付けすることによって調査研究の対象になったり、保全の対象になったりすることもあり得る。
本発表では、ゆざわジオパークの事例を基に、地域の遺産に対する価値付けの意義や方法などについて議論する。