JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[O-06] [JJ] 日本のジオパーク-しくじりから見えてくるジオパークの理想像-

2017年5月20日(土) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[O06-P15] 銚子市内小学6年生に対する屏風ケ浦における校外学習とその効果

*山田 雅仁1,2岩本 直哉1,2若山 昌弘1,2小川 正俊1,2 (1.銚子市教育委員会、2.銚子ジオパーク推進協議会)

キーワード:銚子ジオパーク、ふるさと学習、理科、屏風ケ浦、アンケート調査

1.はじめに
 銚子市教育基本方針(2016年2月策定)によれば、「市民文化の創造を促すために」、「銚子ジオパークの活動を推進する」こと、また、「郷土に誇りをもって成長できる学校教育を進める」ことが謳われている。これを受けて、銚子市学校教育指導の指針(2016年版)にも、「学校や地域の特色を生かした『ふるさと学習』の推進」の事業として、「銚子ジオパークについての学習支援と、校外学習の実施」をすることとしている。
 銚子ジオパーク推進協議会では、2016年2月に銚子市内全小学校(13校、但し1校は該当者不在のため対象外)の6年生に対して、屏風ケ浦における校外学習の支援を行った。この校外学習をとおして、児童にどのような学習支援の効果があったのかアンケート調査を行ったので、その結果を報告する。

2.支援内容
 支援内容は、市内小学校で使用されている理科(大日本図書)の「土地のつくりと変化」の単元に沿って行った。この教科書には、単元のはじめの見開き2ページを使用して、屏風ケ浦上空の航空斜め写真が紹介されている。支援方法は、実際に現地の屏風ケ浦を見ながら、著者のひとりの地質専門員が、屏風ケ浦の大地の成り立ちの概要を説明して、銚子ジオパーク推進協議会の認定ジオガイドがより具体的な現象や、それ以外のジオパークに関わる話しについて説明した。支援時間は、基本的に1時間である。校外学習は、各学校の6年生担当教員の裁量により、屏風ケ浦だけでなく、犬岩、余山貝塚、銚子漁港などを見学する場合もあった。

3.アンケート調査
 アンケート票は、なるべく簡単に済ますことができるように、選択方式とし(自由に意見を記述することもできる)、A4サイズ2ページ分とした。
 小学6年生に対するアンケート票は、校外学習支援終了後に、担当教師にアンケート票を渡し、参加した児童にアンケート票の記入を依頼した。銚子市内の小学6年生は合わせて459人で、そのうち396人からアンケート票を回収した。同様にして、担当教員にもアンケート票の記入を依頼した。回収したアンケートは、PC上に入力し、単純集計及びクロス集計等の統計処理を行った。また、自由回答についても、テキストマイニングツール(KH Coder)を使用して、単語の出現頻度、共起ネットワーク等について解析した。

4.結果
 アンケート票を集計した結果、「銚子ジオパークの学習は、楽しかったですか?」の問いに対しては、「楽しかった」と「やや楽しかった」を合わせると86%の児童が楽しかったと回答した。また、「銚子ジオパークの学習に参加して、あなたは、銚子ジオパークに興味を持つようになったと思いますか?」の問いに対しては、「そう思う」と「少しそう思う」を合わせると83%の児童が興味を持つようになったと回答した。また、「あなたは、いつか家族、友人あるいは知人にも銚子ジオパークの魅力を伝えたいと思いますか?」の問いに対しては、「そう思う」と「少しそう思う」を合わせると74%の児童が魅力を伝えたいと回答した。このように、校外学習の支援を行ったことによって、児童にふるさと銚子に対する興味・関心を持つようになり、魅力を伝えたいと思っている児童が全体の4分の3近くに上った。
 また、児童に対する自由意見から、単語の出現傾向や共起ネットワークを解析すると、「貴重な体験だった。」、「屏風ケ浦の地層が約300万年前でびっくりした。」、「地層が分かってよかった。」、「銚子にはいろいろな歴史がある。」、「わかりやすくて楽しかった。」、「教えてくれてありがとう。」など、地層形成年代の古さに驚き、また楽しく学んだことがうかがえた。
 以上から、屏風ケ浦の小学6年生に対する学習支援は、郷土に誇りを持つことに貢献できたと考えられる。