JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[O-06] [JJ] 日本のジオパーク-しくじりから見えてくるジオパークの理想像-

2017年5月20日(土) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[O06-P31] 島原半島ユネスコ世界ジオパークにおける“ジオサイト”の再定義

*大野 希一1 (1.島原半島ジオパーク協議会事務局)

キーワード:ジオパーク、ジオサイト、島原半島ユネスコ世界ジオパーク

2008年、島原半島ジオパーク推進連絡協議会は、日本ジオパークの認定準備のために、189の“ジオサイト”を洗い出し、そのうちの23を主要ジオサイトと定義して、パンフレットや看板等に記載してきた。しかし、これらの“ジオサイト”には、平成新山をはじめとする地質学的要素で構成されるもの、島原城や武家屋敷などの歴史的要素で構成されるもの、およびミヤマキリシマやシマバライチゴなどの植物・生態学的要素で構成されるものが混在している状況にあった。また、美術館等、ジオパークの構成要素としての説明が困難なものや、位置や範囲が不明瞭なものがあること、さらには2009年以降に整備された複数のサイト(新登山道沿いに点在するサイトなど)が、“ジオサイト”のリストに含まれていない等、多くの問題を抱えていた。近年、GGNはジオパークのエリア内にあるサイトを、地質学的要素を持つもの、生態学的要素を持つもの、歴史・文化的要素を持つものに分類することを求めており、これは、GGNに提出する自己評価表(Document A)の中にも示されている。

このような背景に対し、島原半島ジオパーク協議会は、2016年度からエリア内の“サイト”の再定義を行っている。具体的には、既存の189の“サイト”のうち、地球活動との関連付けが困難なサイトや、埋め戻された遺跡など、観察ができないサイトを外し、近年整備されたサイトを加えた。そしてそれらを、サイトが有する学術的価値に基づいて、1:地質学的サイト(geological sites)、2:生態学的サイト(ecological sites)、3:歴史・文化サイト(historical/cultural sites)、4:複合サイト(composite sites)の4種類に分類した。この中で、博物館相当施設や資料館、ビジターセンターなどの施設類は、サイトには含めず、施設(facilities or visitor centers)として一括した。その結果、2017年2月におけるサイトおよび施設の総数は、サイトが130、施設が16となった。サイトのうち、地質学的サイトが23(5)、生態学的サイトが9(2)、歴史・文化サイトが57(8)、複合サイトが41(21)で、複合サイトのうち、地質学的要素を持つものは20である。括弧は主なサイトの数で、パンフレット類や看板類に優先的に表記することにしている。

“サイトの再定義”を行う上で留意すべき点は、そのサイトがどのような価値を有するかを関係者間で共有することである。サイトの価値が関係者間で共有されれば、サイトの保全計画や活用の指針が立てやすくなることが見込まれる。その一方で、サイトの再定義は、多国語解説板や総合案内板、さらにはパンフレット類やwebsiteへの記載内容にも影響を与えうるため、慎重な議論が必要である。