[PPS02-P25] レゴリス層に形成されるエジェクタカーテン解析法の提案:はやぶさ2小型搭載型衝突装置による衝突実験への応用
キーワード:Ejecta curtain, Hayabusa-2 SCI, Ejecta velocity distribution
衝突クレーター形成は、天体の表層進化において重要な現象である。天体スケールの衝突現象を推測するため、衝突スケール則の構築を目指した室内衝突実験が行われている。しかしながら、微惑星等の小天体で重要となる微小重力下では、衝突スケール則に対する微小重力の影響は良くわかっていない。そこで、クレーター形成に対する微小重力の影響を調べるため、小惑星探査機「はやぶさ2」において宇宙衝突実験が計画されている。「はやぶさ2」のミッションは、小型搭載型衝突装置(SCI)を用いて、2kgの銅板を2km/sで小惑星表面に衝突させる(Saiki et al., 2016)。銅板は、衝突前には直径約15cmの球殻弾丸に成型されている。衝突の様子を、小型分離カメラ(DCAM3-D)で観測し、SCIの点火からクレーター形成までを撮影する(Ishibashi et al., 2016, Ogawa et al., 2016)。このように、「はやぶさ2」では小惑星上でのクレーター形成過程を詳細に観測することが予定されている(Arakawa et al., 2016)。
クレーター形成時に放出される物質(エジェクタ)の速度分布を求めることは、天体表層進化過程を研究する上で非常に重要である。そのため我々はこれまで、粒径500μmの石英砂に対するクレーター形成実験を行い、エジェクタ速度分布を系統的に調べてきた(Tsujido et al., 2015, 松榮 他、連合大会2017)。室内実験において、高解像度のハイスピードビデオカメラを用いて、エジェクタ粒子1粒の放出軌跡を計測することでエジェクタ速度分布を調べてきた。しかしながら、エジェクタ粒子が細かい場合、個別に粒子を識別することは難しい。実際、「はやぶさ2」のDCAM3-Dでは、エジェクタカーテンの外形は観測できるが、個々のエジェクタ粒子を識別することはできないと考えられている。そこで、我々は個別粒子を追跡しない方法でエジェクタ速度分布を求める手法(ECG analysis method、以下ECG)を提案している(Arakawa et al., 2016)。ECGは、ある高さでの水平面におけるエジェクタカーテン外縁の成長速度とその場所でのエジェクタカーテン角度を計測することによって速度分布を算出する方法である。本研究では、様々な衝突条件で行われた室内衝突実験のエジェクタカーテン画像を用いて、ECGによるエジェクタ速度分布の決定精度やその適応範囲を調べた。また、ECGで求めた速度分布と、個別粒子追跡法で求めた結果との整合性を調べた。室内衝突実験は、石英砂を標的とし、8種類の弾丸を1.5~6.9km/sで衝突させた (松榮 他、連合大会2017)。
また、2013年に実施された実スケールのSCIを用いた地上実験の結果(Wada et al., 2014)を解析した。斜面下方向から観測したクレーター形成過程の動画を用いて、個別粒子追跡法とECGを用いてエジェクタ速度分布を計測し、ECGが実スケールのクレーター形成過程に応用可能かどうかを検証した。さらに、全5ショットについて、形成したクレーターサイズをπ-スケール則でまとめ、乾燥石英砂で得たスケール則(Matsue et al., in prep)と比較した。
クレーター形成時に放出される物質(エジェクタ)の速度分布を求めることは、天体表層進化過程を研究する上で非常に重要である。そのため我々はこれまで、粒径500μmの石英砂に対するクレーター形成実験を行い、エジェクタ速度分布を系統的に調べてきた(Tsujido et al., 2015, 松榮 他、連合大会2017)。室内実験において、高解像度のハイスピードビデオカメラを用いて、エジェクタ粒子1粒の放出軌跡を計測することでエジェクタ速度分布を調べてきた。しかしながら、エジェクタ粒子が細かい場合、個別に粒子を識別することは難しい。実際、「はやぶさ2」のDCAM3-Dでは、エジェクタカーテンの外形は観測できるが、個々のエジェクタ粒子を識別することはできないと考えられている。そこで、我々は個別粒子を追跡しない方法でエジェクタ速度分布を求める手法(ECG analysis method、以下ECG)を提案している(Arakawa et al., 2016)。ECGは、ある高さでの水平面におけるエジェクタカーテン外縁の成長速度とその場所でのエジェクタカーテン角度を計測することによって速度分布を算出する方法である。本研究では、様々な衝突条件で行われた室内衝突実験のエジェクタカーテン画像を用いて、ECGによるエジェクタ速度分布の決定精度やその適応範囲を調べた。また、ECGで求めた速度分布と、個別粒子追跡法で求めた結果との整合性を調べた。室内衝突実験は、石英砂を標的とし、8種類の弾丸を1.5~6.9km/sで衝突させた (松榮 他、連合大会2017)。
また、2013年に実施された実スケールのSCIを用いた地上実験の結果(Wada et al., 2014)を解析した。斜面下方向から観測したクレーター形成過程の動画を用いて、個別粒子追跡法とECGを用いてエジェクタ速度分布を計測し、ECGが実スケールのクレーター形成過程に応用可能かどうかを検証した。さらに、全5ショットについて、形成したクレーターサイズをπ-スケール則でまとめ、乾燥石英砂で得たスケール則(Matsue et al., in prep)と比較した。