JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG64] [EE] Morphodynamics and Genetic Stratigraphy for Understanding Landforms and Strata

2017年5月22日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SCG64-P01] マイクロプラスチックの海洋底への拡散と年代決定論

*川村 喜一郎1 (1.山口大学)

キーワード:堆積年代、マイクロプラスチック、表層堆積物

海洋でのプラスチック汚染は深刻である.日本海側の海岸に打ち上げられるペットボトルの数々などは,象徴的である.
それらのプラスチックが細かく砕かれたマイクロプラスチックは,世界各地の海洋に拡散し続けている.そして,マイクロプラスチックによって吸着されたPCBなどの有害物質は,海洋生物の体内に吸収,蓄積される.そのような海洋におけるプラスチック汚染の実態は,世界の沿岸において調べられているが,水深数千メートルの深海での影響については未解明である.
一方で,そのような拡散する人工物を用いれば海底堆積物の年代を決めることができる.例えば,有名なものは,セシウム同位体である.セシウム同位体はセシウム134と137とが堆積物の年代決定に用いられる.セシウム134は半減期約2年であり,最近の原発事故や核実験などの指標として用いられ,東北沖での福島第一原発事故以降の堆積作用を調べる上で重要な役割を果たした(例えば,Oguri et al., 2013; Scientific Reportsなど).セシウム137は,半減期が約30年と長いため,原発事故によって堆積したセシウム137を長い間検出可能であり,堆積物の年代決定の指標として使用されている.セシウム137の検出ピークは,1960年代の核実験,1987年のチェルノブイリ事故とが有名で,海底堆積物の年代指標として使われている.
マイクロプラスチックも同様の人工物であり,塩ビ公表・環境協会によると,日本周辺では1960年代の高度経済成長以降,100万トン/年であったものが,1991年には200万トン/年と,増産が続いている.ただし,昨今の環境問題から,2008年以降は180万トン/年で推移している.それらは腐ることなく,海底に沈積していると予想されるが,その実態は良くわかっていない.
そこで本研究では,水深数千メートルで採取された海底表層のマイクロプラスチックの検出を行い,深海底での新しい年代指標として確立を目指す. また同時に,マイクロプラスチックの海底への拡散経路を調べ,海洋汚染としてのマイクロプラスチックの実態を把握する.