[SCG74-P13] 大規模超高精度砂箱実験と大規模砂箱数値実験ーフロンタルスラスト形成に先立つ予兆現象
キーワード:予兆現象、地震、砂箱実験、DEM simulation
我々は2011年から付加体形成のアナログ実験のための大規模超高精度砂箱実験装置の開発を行ってきた。実験系の高精度化にあたり、様々な試行錯誤を繰り返し、2014年に装置のプロトタイプが完成した。本装置開発の当初の目的は、付加体のシーケンシャルスラストと隆起が作る構造に関して南海トラフに見られるようなトラフ軸方向に「複雑に屈曲・分岐した縮緬模様」と、南米チリ沖に見られるような「直線的な構造」の違いが生じる要因を調べることであった。この目的を達成するためには、できるだけ大きな砂箱を使うことと、砂を敷き詰める過程を十分にコントロールし初期砂地盤の均質性を確保することで再現性の高い実験を行う必要があった。そこで、1m四方の砂箱に対して、砂粒1粒子以下の精度で所定の砂の敷き詰め厚さを確保する超高精度実験法を開発した。実験の高精度化の結果、断層をその形成位置も含めて確実に再現できるようになった。さらに、我々は断層形成前に砂層表面の粒子が不連続な微小変位を繰り返す現象を発見した。この微かな予兆現象を確実に捉えて理解し、フィールドでの観測可能性を検討したい。そのために荷重や変位の精密測定(800mmの範囲で、0.1µmの分解能)を実現し、広範囲で表面現象を解析するためにカメラアレイを構築し、計測ノイズ低減のために装置自体を強化・改良した。その結果、断層形成に先立って、砂層表面の微小変位、傾斜変動などが捉えられた。この前駆現象のメカニズムに迫るため、表面現象しか観察できない室内砂箱実験に加えて、実スケール、2.4億粒子でのDEM砂箱シミュレーションを実施した。シミュレーションでも室内実験と類似の前駆現象が捉えられた。講演では室内実験とシミュレーションで捉えらた前駆現象を比較し、そのメカニズムを考察する。