[S-CG75] [JJ] 地殻流体と地殻変動

[SCG75-P04] 北勢観測点の井戸の密閉による地下水位の地殻歪応答の改善

*北川 有一¹、松本 則夫¹ (1.産業技術総合研究所地質調査総合センター地震地下水研究グループ)

キーワード：地下水、歪感度、密閉井戸、スロースリップイベント

南海トラフのプレート境界で発生する短期的SSEの推定において、愛知県西部から三重県北部の地域に高感度な地殻変動・地下水の観測点がないことが課題の一つである。地下水位の地殻変動への応答を改善することを目的として、2016年5月に三重県北部に位置する北勢観測点の観測井戸（内管）を、パッカーを用いて密閉した。
観測の対象とした帯水層の透水係数が小さいため、密閉前の地下水位は地殻歪変動への応答が悪かった。密閉後は、地下水位（水圧）に潮汐変動が明確に現れ、地下水位（水圧）の地殻変動への応答は改善された。密閉後の地下水位（水圧）の地殻歪応答は密閉前の約10倍に改善した。
地下水位（水圧）データから潮汐成分・気圧応答・降雨応答を除去することで、2016年7月と12月に伊勢湾周辺で発生した深部低周波微動活動に同期した地下水位（水圧）変化を捉えられた。地下水位（水圧）変化は短期的SSEによる地殻変動で生じたと期待されるので、短期的SSEの断層モデルから予測される地下水位（水圧）変化と検出した変化との比較を行う。