JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-CG 固体地球科学複合領域・一般

[S-CG75] [JJ] 地殻流体と地殻変動

2017年5月21日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SCG75-P06] 格子ボルツマン法を用いたフラクチャー内の流体挙動の特徴化とその代表要素体積

*幾尾 憲伍1蒋 飛2,3辻 健3,1 (1.九州大学大学院工学府地球資源システム工学専攻、2.山口大学大学院機械工学科、3.九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所)

キーワード:フラクチャー、浸透率、格子ボルツマン法、代表要素体積

断層に沿った流体挙動は、断層周辺の間隙水圧に影響を与えるため、断層活動に関連するとされている。また、断層内の流体挙動は、地震後の断層回復過程や鉱物化に強い影響を与えると考えられている。フラクチャーの浸透率は一般的に室内実験で測定される。一方、デジタル化したフラクチャーモデルに対して数値シミュレーションを適用して、浸透率を計算した研究例は少ない。本研究では格子ボルツマン法を用いた数値シミュレーションで、フラクチャー内における浸透率を正確に算出した。数値シミュレーションでは温度やフラクチャーの開口幅といった貯留層のパラメータを自由に変化させ、その浸透率への影響を調べることができる。今回は、せん断を受けたフラクチャーモデルと、せん断を受けていないフラクチャーモデルの2種類を用いた(Ishibashi et al.,2014)。それらのフラクチャーをデジタル化した後、格子ボルツマン法でフラクチャー内の流体挙動を計算した。シミュレーション結果を検証するために、数値シミュレーションで得られた浸透率を室内実験におけるものと比較したところ、整合的であることがわかった。次に、フラクチャーモデルの水理学的特性の代表要素体積(REV)を評価した。本研究では、モデル全体の領域から小さな領域(小さなフラクチャーモデル)を抜き出して、小さなフラクチャーモデルの浸透率をLBMによる数値シミュレーションで計算した。フラクチャーモデルが小さいときは、浸透率にばらつきが見られたが、サイズが全体のモデル(縦0.15m、横0.1m)に近づくと、浸透率は均一に収束する傾向が見られた。このことから、本研究で用いたフラクチャーモデルのREVは0.1m程度であることが示された。REVよりも小さなフラクチャーモデルの水理学的特性は、不均質性の影響を大いに受けるため、数値シミュレーションで、供試体のREVを推定できることは大きな利点である。