JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-EM 固体地球電磁気学

[S-EM19] [JJ] 電気伝導度・地殻活動電磁気学

2017年5月22日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SEM19-P02] ドローンを用いた空中磁気観測システムの開発

*宇津木 充1橋本 武志2城森 敦善3 (1.京都大学大学院理学研究科附属地球熱学研究施設火山研究センター、2.北海道大学大学院理学研究科附属地震火山研究観測センター 、3.(有)ネオサイエンス)

キーワード:空中磁気探査、マルチコプター

京都大学火山研究センターでは、有限会社ネオサイエンス社(大阪府泉南市男里5丁目11-22)への委託事業として小型無人機(ドローン)を用いた火山活動域近傍における磁場観測システムの開発を行い、実フィールドでのテストフライトとして阿蘇米塚火山での空中磁気観測を行った。尚、本事業は文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の一環として行った。
 平成26年11月に、御嶽火山において水蒸気噴火が発生し多くの犠牲者を出した。この事態を受け、文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画」の事業の一環として、水蒸気噴火後の地下浅部の熱的状態把握を目的とした有人ヘリコプターによる空中磁気観測を計画した。地磁気観測は地下浅部の温度が空間的にどのような分布を持つかを知るうえで非常に効率の良い方法であることが知られている。さらに測定デバイスの安定性から、航空機を用い地磁気観測を空中から高密度で行う事が可能であるという利点も併せ持つ。こうした手法を用い火山の活動域地下の熱的状態を高分解能で把握することは、噴火のメカニズム解明、今後の噴火予測を行う上で非常に重要な情報となる。しかし今回の御岳火山では、当該地域の飛行規制のため有人機による観測を実施することが出来なかった。
 従来、空中磁気観測は有人の航空機を用いて行われていたが、今回の場合のように噴火直後は、メカニズム解明、噴火予測を行う上で最も重要な情報が得られるにも拘わらず、安全性の観点から調査が不可能な状況が殆どである。こうした事から、今回の御嶽火山の事例を教訓として、近年様々な用途で盛んに用いられるようになった小型無人機(ドローン)による空中磁気観測システムの開発を行う事とした。
 観測システムの開発は(有)ネオサイエンス社に委託した。このシステムで使用するマルチコプターはDJI S1000、磁力計センサはBartington Mag566フラックスゲート3成分センサである。磁気サーベイでは全磁力を計測する事が一般的だが、既存の全磁力型磁力計はS1000のペイロードをわずかに超えてしまう事から今回は軽量、省電力な3成分センサを用いた。観測から得られる3成分データを元に全磁力値を求め、対象地域の全磁力異常分布を求める。この観測システムの実証試験として、2016年8月に阿蘇米塚火山周辺で空中磁気観測を行った。米塚火山では橋本他(2007)により詳細な全磁力異常の地上観測が実施されている。このデータに上方接続を施したものとの比較から本観測システムの精度の検証を行う。本発表では米塚での観測のデータ及びその精度検証の結果について報告する。