JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GC 固体地球化学

[S-GC54] [JJ] 地球化学の最前線

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SGC54-P04] 高精度多点14C年代測定と富士五湖湖底堆積物を用いた過去 8000 年間の富士山噴火史復元

*長野 玄1横山 祐典1オブラクタ スティーブン2宮入 陽介1吉本 充宏3山本 真也3 (1.東京大学 大気海洋研究所、2.秋田大学国際資源学部、3.山梨県富士山科学研究所)

キーワード:富士山、放射性炭素年代測定、噴火史、年代モデル

富士山はフィリピン海プレート,ユーラシアプレート,北米プレートのプレート境界に位置し,約10万年前から現在にかけて主に玄武岩質マグマを噴出する活動を続けている活火山である.その噴火履歴を復元するため,当地域では陸上で度重なる掘削が行われ,火山噴出物の層序が報告されている.しかし富士五湖,特に本栖湖・西湖の湖底堆積物はこれまで研究がほとんどなく,未解明なことが多い.

本研究では,富士五湖の本栖湖・西湖の湖底堆積物を掘削し,年代モデルの作成により富士山の噴火史を制約することを目的とした.コアの肉眼観察,XRFコアスキャナー測定によってコアのスプライスを作成して,加速器質量分析によってバルク堆積物 (109試料)・植物化石(20試料)の14C年代を測定した.本栖湖において,過去8000年にわたって解像度の高い連続的な年代が構築された.バルク堆積物と植物化石の14C年代の差が小さいことが示され,このことは本栖湖の集水域が狭いことと整合的である.また,噴出年代が3149±12 cal yBP (Tani et al., 2013)であるカワゴ平テフラがコア中に確認された.年代モデルから推定されるカワゴ平テフラの年代は3161±78 cal yBPであることから,本研究の年代モデルの信頼性が高いことが示された.陸上掘削の先行研究よりも多くのスコリア層が堆積物中で確認され,湖底堆積物の分析によって小規模の噴火活動を区分できる可能性が示唆された.以上のことから,火山に近接する湖の湖底堆積物は気候変動のみならず火山噴火史を解明する上でも有用であることが示された.

Reference:
Tani, S., Kitagawa, S., Hong, W., Park, J.H., Sung, K.S., Park, G., 2013. Age Determination of the Kawagodaira Volcanic Eruption in Japan by 14C Wiggle-Matching. Radiocarbon, 55(2-3), 748-752.