JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS04] [EE] Subduction zone dynamics from regular earthquakes through slow earthquakes to creep

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SSS04-P17] 室戸-足摺沖隆起帯の浅部活構造

*芦 寿一郎1大出 晃弘1高下 裕章1山口 飛鳥2池原 研3 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科/大気海洋研究所、2.東京大学大気海洋研究所、3.産業技術総合研究所)

キーワード:active fault, active fold, outer ridge, subbottom profiler, Navigable Sampling System

室戸岬から足摺岬沖には室戸海丘,西室戸海丘,足摺海丘といった高まりが逆L字型に断続的に連なる.反射法地震探査記録では,東側を逆断層で切られ,西側が緩やかな非対称な背斜構造からなり,後期鮮新世から第四紀初め頃に隆起し始めたとされる(岡村・上嶋,1986,地調海洋地質図).この逆L字型の隆起帯はフィリピン海プレートが南海トラフに斜めに沈み込むことで形成されたと考えられている(杉山,1989,地調月報).
 本研究では,隆起運動にともなう海底表層の堆積・変形構造を捉えるため,KH-15-2, KH-16-5白鳳丸航海において深海曳航式サブボトムプロファイラー(SBP)探査を行った.チャープ方式を用いた装置(EdgeTech DW-106)を無人探査機NSSを用いて海底面上15 m前後で探査することにより,高解像度のSBP断面を取得することができた.
 探査地点は,室戸岬南方45kmの西室戸海丘と足摺岬沖70kmの無名の海丘(本研究では足摺南海丘と仮称)である.西室戸海丘は,北東-南西方向に伸びた複数の高まりからなり,探査は南東から北西に向かって行った.南峰の南東側の堆積盆では,北西に向かって地層が傾動しており深部ほど傾斜が大きい.南峰の北西側の堆積層は北西に向かって大きく傾動しており,南峰の南東側の崖には100m程度の変位が存在するとみられる.また,北東-南西方向の深い谷地形が南峰の北西斜面に発達する.一方,北峰は堆積層の反射面がほとんど見られず.南峰より古い時代の地層が露出しているものとみられる.両者の間の小海盆の地層は北峰の相対的な隆起を示唆する.南足摺海丘は南斜面に北東-南西方向の線状構造が発達する.調査はそれを横断する南東から北西に向けて行ない,海底面まで変形の達する高角の断層と撓曲に挟まれたホルスト状の地形が捉えられた.本高解像度浅部構造探査により,室戸岬から連続する隆起帯に沿う,最近のテクトニクスを反映した特徴的な堆積と変形が捉えられた.