JpGU-AGU Joint Meeting 2017

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[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS16] [JJ] 地殻構造

2017年5月24日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SSS16-P14] 大阪湾岸中央南部地域に沿う泉北グラーベン北域を横断する重力調査

*領木 邦浩1 (1.兵庫職業能力開発促進センター電気・電子系地球環境電気資源学教室)

キーワード:大阪平野、上町断層帯、地下構造、逆断層、数値地理報、公共基準点

1. はじめに
人口の集中した堆積盆上の都市ではよく知られていない伏在活断層による地震被害が懸念され、堆積基盤の構造を把握することが喫緊の課題である。筆者はこれまで大阪泉北地域において上町断層帯の重力構造を明らかにしてきた(例えば、領木(2011)、領木(2015)など)。特に領木(2016)では、高石地区での重力測定において湾岸に沿うグラーベン構造が推定され、上町断層帯沿岸部(吉岡・他, 2013)の北縁部分の位置が確認された。今回は領木(2016)の測線の約3km北側に設定した東西測線で重力測定を行った結果を報告する。

2. 対象地域
今回の測線(図1)は大阪府堺市中区学園町東詰から同市西区浜寺公園町の浜寺水路護岸までの東西約8kmである。このうち、南海本線浜寺公園駅南から石津川西までの2.2km間は杉山(1997)の反射法地震探査堺第2測線にほぼ一致する。

3. 測定方法
重力測定にはLaCoste & Romberg相対重力計G-308を使用した。測定点は原則として国土地理院基本基準点および公共街区基準点・補助点上とし、各点の測量成果を重力補正時に使用した。街区補助点が亡失している場合は地図上でその元位置を確認して重力測定点とした。平野部での測定のため、地形補正は施されていない。

4. 測定結果
図2に東西方向に投影したfree air異常および単純Bouguer異常の結果を示す。横軸は今回の測線の西端からの距離である。図2には吉岡・他(2013)が示した距離0.40 km付近に位置する推定地下活断層(1)、0.96 km付近に伏在活断層(2) とこれに伴う活撓曲、1.68 km付近にやや位置が不明確な活断層(3) とそれに伴う活撓曲、3.60 km付近にやや位置が不明確な活断層(4) のそれぞれの位置を併記している。これらの断層はいずれも今回の測線におおむね直交している。

5. 考察
重力断面から推定できる断層位置を基盤の落差の中心で代表させるとすると、その位置は地表で観察される活断層位置から上盤側にずれている。これは岩田・他(2013)が堆積層を剛体球集合体で表現して計算した数値シミュレーションの結果からも支持される。
図2に示された結果のうち、測線の始点でブーゲー重力異常が低くなっているのは幅170m以上ある浜寺水路の地形効果に起因するものと考えられる。図2に見られるブーゲー異常の分布から、断層(3)は西落ち、断層(4)は東落ちが示唆される。また、重力異常値は距離4.00km付近から滑らかに上昇している。これは三国丘高重力異常地域の外周部に測線が沿っていることに起因すると考えられる。
以上の測定に基づいて今後より詳細な議論を行うためには、地形補正および広域重力補正を施す必要がある。なお、浜寺水路より西側は広大な埋立地に立地する石油等のコンビナートであり、保安上余人の立ち入りが大変難しい地区であるが、彼の地がグラーベン構造を示すか否かを検証するためには、ここでの稠密な重力測定が不可欠である。

謝辞
秋田大学国際資源学部資源開発環境学教室の西谷忠師教授(当時・現名誉教授)を始めとする物理探査学研究室の皆様には重力測定に際し過大な配慮を賜った。記して謝意を表します。

参考文献
岩田・他(2013):断層帯の三次元的形状・断層帯周辺の地殻構造解明のための調査観測,上町断層における重点的な調査観測平成22~24年度成果報告書,文部科学省研究開発局・京都大学国土地理院(2017) : 基準点成果等閲覧サービス,http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/index.aspx. 防災研究所,p. 66 - 163.
領木(2011):和泉市西北部-中央部での都市地盤構造解析のための重力測定,近畿職業能力開発大学校紀要, vol. 19, p. 18 - 19.
領木(2015):基本基準点測量および街区基本調査の成果を援用した都市域での野外調査 -基準点上での稠密重力測定例-,日本地球惑星科学連合2015年大会予稿集,S-SS31-PO5.
領木(2016):上町断層帯を横断する高石-堺測線に沿う泉北グラーベンでの稠密重力測定,日本地球惑星科学連合2016年大会予稿集,SSS26-P01.
杉山(1997), 上町断層系の反射法弾性波探査,平成8年度活断層研究調査概要報告書, 工業技術院地質調査所, 105-113.
吉岡・他(2013):活断層の活動区間を正確に把握するための詳細位置・形状等の調査,上町断層における重点的な調査観測平成22~24年度成果報告書,文部科学省研究開発局・京都大学防災研究所,p. 5 - 65.