JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS17] [JJ] 地震発生の物理・断層のレオロジー

2017年5月21日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SSS17-P01] 地震波形と津波波形を用いた1938年と2016年福島県沖の地震の解析

*室谷 智子1佐竹 健治2 (1.国立科学博物館、2.東京大学地震研究所)

キーワード:1938年・2016年福島県沖の地震、震源過程、地震・津波波形

1938年5月と11月に福島県東方沖(塩屋沖)で発生したMJMA 6.9-7.5の一連の地震は,2011年東北地方太平洋沖地震やその余震が発生するまで, この地域で知られた唯一のM7クラスの地震であった.これらの地震の震源近くで,2016年11月22日にMJMA 7.4の地震が発生した.これらの地震の震源過程を明らかにするため,地震波形と津波波形を用いて再解析を行っている.室谷ほか(2004, 地震学会)は,仙台,新潟,前橋,水戸,本郷の近地地震波形を用い,5/23(イベント1:Mw 7.6, 断層サイズ 60 km x 70 km),11/5(イベント2:Mw 7.9, 断層サイズ 80 km x 60 km),11/5(イベント3:Mw 7.8, 断層サイズ 90 km x 60 km)の地震の不均質すべり分布を推定した.今回これらのすべり分布を用いて,Christchurch,De Bilt,Pasadena,Pulkovoの遠地地震波形を計算し,観測波形と比較した.その結果,全てのイベントにおいて,計算波形の振幅が観測波形の振幅よりも数倍から十数倍大きかった.また,イベント2 に関しては鷺坂・伊藤(1939,験震時報)より八戸,鮎川,宮古,尾島,小名浜の津波波形記録を読み取ることができたため,近地波形から得られたすべり分布を用いて津波波形を計算して比較したところ,観測波形よりも振幅がかなり大きかった.遠地地震波と津波の観測記録からは,近地地震波インバージョンより得られたすべり量やMwが過大評価であったと考えられる.1938年11月6日にはMJMA 7.4の正断層地震(Abe, 1977, Tectonophysics)が発生しているが(イベント4),2016年のイベントも,気象庁やUSGSによってMw 6.9の正断層地震であるとされている.そこで,2016年と1938年のイベントの遠地波形と津波波形の比較を行った.津波波形は3観測点(宮古,鮎川,小名浜)のみでの比較であったが,波形は似ていなかった.一方で,Christchurch,De Bilt,Pasadena,Pulkovoでの遠地地震波形の比較は,振幅は1938年の方が大きいが,波形の位相は良く似ていた.MJMAは両者とも同じであるが,Abe(1977)によるイベント4のMwは7.7と推定されており,かなりの差がある.津波到達時刻による逆伝播図から推定される波源域を比較しても,1938年に比べて2016年の波源域はかなり小さい.この地震波形の振幅の違いは,Mwの差によるものと考えられる.以上の結果に加え,1938年の一連の地震について,不均質速度構造を考慮した近地波形インバージョンによるすべり分布の再解析についても紹介する.
本研究は,JSPS科研費JP16H01838の助成によって行った.