[SSS17-P22] 和歌山県日高川層群に発達する巨大分岐断層の構造地質学的・鉱物学的・地球化学的特徴
キーワード:付加体、微量元素、流体岩石相互作用、巨大分岐断層、四万十帯
プレート沈み込み巨大地震の断層滑り挙動を解明するために,四国四万十帯を初め,九州四万十帯などで,精力的な研究が実施されている.その滑り挙動は,岩石の組成にも大きく依存するため,海溝軸に沿った広範囲での調査が重要である.しかし,紀伊半島西岸の付加地質体に発達する断層岩の分析は未だ実施されていない.そこで,本研究では和歌山県西部,三尾地域に分布する日高川層群中のメランジユニットに着目し,現地での地質図と変形構造区分図の作成,埋没深度推定,断層岩の微小構造観察,鉱物組成定量分析,および主要・微量元素分析を実施した.
その結果,母岩中の炭質物のラマン温度計より,埋没深度は3~4 kmであり,高い直線性を持つ断層を境に,埋没深度差が確認された.これは,大きな累積変位量を示唆する.さらに,この断層では,鉱物粒子の細粒化,葉状構造,溶融の痕跡,鉱物組成・主元素組成・微量元素組成の有意な変化が確認された.特に,微量元素組成の変化は高温状態(>350 °C)での流体–岩石相互作用を示した.以上より,本地域に発達する断層は非常に強い剪断・高温を経験しているかつての巨大分岐断層であると考えられる.発表では,これらの情報をさらに精査,考察し,地震時の滑り挙動と滑りパラメータについても報告する予定である.
その結果,母岩中の炭質物のラマン温度計より,埋没深度は3~4 kmであり,高い直線性を持つ断層を境に,埋没深度差が確認された.これは,大きな累積変位量を示唆する.さらに,この断層では,鉱物粒子の細粒化,葉状構造,溶融の痕跡,鉱物組成・主元素組成・微量元素組成の有意な変化が確認された.特に,微量元素組成の変化は高温状態(>350 °C)での流体–岩石相互作用を示した.以上より,本地域に発達する断層は非常に強い剪断・高温を経験しているかつての巨大分岐断層であると考えられる.発表では,これらの情報をさらに精査,考察し,地震時の滑り挙動と滑りパラメータについても報告する予定である.