JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ]Eveningポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-VC 火山学

[S-VC47] [JJ] 活動的火山

2017年5月22日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

[SVC47-P01] 2016年11月24日に発生した阿寒湖周辺の傾斜・体積ひずみ変動

*奥山 哲1高橋 浩晃2宮城 洋介3青山 裕2大園 真子2岡崎 紀俊4秋田 藤夫4宮本 聖史5田利 信二朗5 (1.気象研究所、2.北海道大学、3.防災科学技術研究所、4.道総研地質研究所、5.札幌管区気象台)

キーワード:阿寒、傾斜変動、地殻変動

気象庁一元化震源によると、2016年11月に雄阿寒岳周辺を震源とする地震がやや増加した.2016年11月24日には低周波成分を含む地震が連続して発生し、その後釧路市阿寒町阿寒湖温泉で震度1を観測する地震が発生した.この低周波成分を含む地震の際、気象庁の設置する雌阿寒岳の傾斜計において傾斜変動が観測された.傾斜の変化量は飽別川上流で4.5×10-8rad、阿寒富士北で7.3×10-8radであり、センスは共に北東(阿寒湖・雄阿寒岳方向)下がりであった.

この傾斜変動と同期して、阿寒湖温泉の水位計(AK3:地質研・北大)、弟子屈町屈斜路のサックス型体積ひずみ計(KUT:北大)、Hi-net阿寒北の高感度加速度計(ANNH:防災科研)においても地殻変動によると考えられる変化が見られた.KUTの体積ひずみ変化は6×10-9strの圧縮であり、ANNHの傾斜変化は、南東方向に18.5×10-8radであった.Takahashi et al. (2012)は阿寒湖温泉の水位計が体積ひずみ計として働くことを報告しており、それに従ってAK3の水位変化を体積ひずみ変化に変換した所、3.4~4.5×10-8strの圧縮となった.

これらの観測値からポイントソースを仮定して減圧源を推定した所、雄阿寒岳南約3kmの深さ15km、体積変化2×106m3で誤差最小となった.利用した観測点が主に北東―南西方向に分布しているため、北西―南東方向の減圧源水平位置の決定精度が悪い.また、深さが15kmと深く推定されるのはKUTで観測された体積ひずみが圧縮のセンスであることからの要請である.ポイントソースを仮定した減圧源では、水平距離が深さの約1.4倍を超えると圧縮場から伸長場にセンスが変わるため、深さ10kmの減圧源では約20km離れたKUTでの圧縮を説明できない.