[SVC50-P20] 顕微ラマン分光法を用いた“赤い黒曜石”の組織解析
キーワード:黒曜石、ラマン分光、組織解析、白滝
本研究の目的は、ラマン分光法を用いた組織解析により“赤い黒曜石”の成り立ちを明らかにすることである。黒曜石とは、高粘性マグマが爆発・非爆発的に噴火した際に形成される黒色のガラス質な岩石である。北海道遠軽町白滝地域の赤石山では、赤色の黒曜石を産する黒曜石溶岩がおよそ220万年前に噴出した。黒曜石が赤くなる要因は、一般的には含まれる微小な鉄チタン酸化物結晶の赤色酸化と解釈されている。定性的な説明は赤色酸化でよいのだが、ここで問題となるのは、酸化部の赤色の濃さが均一ではなく、血液のように真っ赤な場合や、オレンジに近い色の場合が存在することである。このような色の違いは、マグマが冷えて固まるまでに経験する、マグマ中の揮発性物質の放出過程(脱ガス過程)の違いによってマグマの酸化・還元状態が変化するためと考えられる(例えばFurukawa et al., 2010)。しかしながら、黒曜石溶岩の脱ガス過程を理解するための物質科学的な情報は十分には得られていない。
本研究では、色の違う白滝産黒曜石に含まれる鉄チタン酸化物マイクロライトついて、神戸大学研究基盤センター所有の日本分光社製レーザーラマン分光分析装置(NRS-7100)を使用し、顕微ラマン分光分析を行った。分析は514 nmレーザーを用いて行った。その結果、“赤い”黒曜石及び“黒い”黒曜石中で2種類のラマンスペクトルを得ることができ、referenceとの比較からマグネタイト及びヘマタイトと同定された。得られたラマンスペクトル及び組織のパターンから、色の異なる黒曜石が噴火中に経験した脱ガス過程について議論する。
本研究では、色の違う白滝産黒曜石に含まれる鉄チタン酸化物マイクロライトついて、神戸大学研究基盤センター所有の日本分光社製レーザーラマン分光分析装置(NRS-7100)を使用し、顕微ラマン分光分析を行った。分析は514 nmレーザーを用いて行った。その結果、“赤い”黒曜石及び“黒い”黒曜石中で2種類のラマンスペクトルを得ることができ、referenceとの比較からマグネタイト及びヘマタイトと同定された。得られたラマンスペクトル及び組織のパターンから、色の異なる黒曜石が噴火中に経験した脱ガス過程について議論する。