JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] [JJ] 災害を乗り越えるための「総合的防災教育」

2017年5月20日(土) 13:45 〜 15:15 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:中井 仁(小淵沢総合研究施設)、宮嶋 敏(埼玉県立熊谷高等学校)、根本 泰雄(桜美林大学自然科学系)、小森 次郎(帝京平成大学)

[G02-P05] 地震時監視カメラ映像を用いた従業員防災訓練手法の提案に向けて

*東 宏樹1内藤 昌平1藤原 広行1黒田 真吾2翠川 三郎3 (1.国立研究開発法人防災科学技術研究所、2.白山工業株式会社、3.東京工業大学)

キーワード:地震、監視カメラ映像、防災教育

身の回りの様々なセンサー群を防災目的に利用しようとする取り組みが始まっている。こうした流れを踏まえ、集客施設で従来行っているマニュアル通りの訓練等による従業員向け防災教育を、本稿では地震時の防犯カメラ映像アーカイブを利用した防災教育・訓練にアップデートする手法を提案する。

訓練の方法:本提案の手法は以下の3パターンある。
(パターンA:映像学習型)
・特定の映像を最後まで視聴し、自らの立場ならば地震時にどう行動すべきか考える。
・同映像を繰り返し視聴し、事前にどのような対策を行うべきか思いつく限り書き出す。
・以上を制限時間内で反復シミュレーション(事前反芻)し、気づいた点の共有を行う。
(パターンB:クイズ型)
・揺れの始まる前までの静止画あるいは動画を見せ、その後どうなるかを予想させる。
・各種回答を互いに発表した後、実際の映像を視聴し予想の振り返りと対策抽出を行う。
(パターンC:他の防災教育ツールとの組み合わせ型)
・様々な防災教育ツール、例えば地震ザブトン、防災アプリ等と組み合わせた訓練手法。

想定されるメリットと課題点:
想定されるメリットは以下のとおりである。
・見慣れた店舗における実際の地震時の映像は地震災害そのもののわがこと化(福和ら)にきわめて効果的であると思われる。
・直近の地震で得られた映像データを用いることにより、防災訓練のマンネリ化を低減させる効果があると思われる。
一方、課題点は以下のとおりである。
・想定して動くべき震度(映像アーカイブシステムの映像には震度5弱〜7まである)の決め方を従業員が自ら適切に設定できるか疑問である。
・他店舗の失敗事例や実被害を周知することによる社内不和の発生や、顧客のプライバシー遵守意識の低下につながるのではないか。

発表では、これらの内容について検証がより進んだ状態でご紹介する予定である。


参考文献:
集客施設の防犯カメラ映像を利用した地震動映像アーカイブシステムの構築:東ほか、情報処理学会第 76 回全国大会講演論文集,4.445-446, 2014.
減災啓蒙のための地震時室内被害の映像データベースとその予備的分析:黒田ほか、地域安全学会梗概集, No.28, pp.5-6, 2011.
地震時室内被害軽減のための集客施設での防犯カメラ映像の収集と分析-東日本大震災での事例:翠川ほか、災害情報, pp.189-190, 2011.

謝辞:映像の提供にご協力いただいたイオン株式会社の皆様に深く感謝の意を表す。