JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] [JJ] 小・中・高等学校,大学の地球惑星科学教育

2017年5月20日(土) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)

[G04-P10] 高校地学教科書に記載される用語の変遷からみた課題

*中島 健1 (1.龍谷大学)

キーワード:高校地学教科書、用語・用法、内容の変遷と課題

次期高等学校学習指導要領においても「地学基礎」「地学」が継続して設定されることが想定されているが,学生時に地球惑星科学を学んできた教員の新規採用が今後促進されない限り,地球惑星科学を専門外とする多くの教員がこれらの科目を担当せざるを得ないのは間違いない。そのような状況下では,
・一定のバックグラウンドをもった上でしか理解できないような地球惑星科学的概念や専門用語の使用,
・ある特定概念・現象に対して教科書によって異なる用語表現があること,
・教科書によって各分野の配列順や論理構成が異なることなど,
これらの問題があると結果的に生徒の地球惑星科学リテラシー形成,ひいては進路選択にとってもネガティブに作用すると考えられるため,できる限り避けなければならないといえる。
しかしこのような問題は,実際に現在高等学校で使用されている「地学基礎」および「地学」の教科書に散見されることが既に指摘され(根本ほか,2016など),また「地理」との間にも同様の祖語が生じているという指摘もあり(山本ほか,2016),JpGUでも問題解決に向けての検討がなされている。
実は,このような問題は現在使用中の教科書だけでなく,約70年前に新制高校がスタートして以来150種余の地学教科書が発刊されてきたが,その歴史の中で改善されることなく連綿として受け継がれてきたのである。ここに問題の根深さがあると考えられる。そこの解決がない限り,上記課題克服に向けての進展はないだろう。
ここでは地学教科書の記述としての望ましいあり方について考察し,次期学習指導要領および解説の策定に向けての方向性を議論したい。
以下に課題と考えられる用語の例を一部示す。
・地震動:地動,地震の振動,地震による振動,地震の揺れ,各地点の揺れ
・初期微動継続時間:S-P時間,P-S時間,PS時
・磁極:北磁極・南磁極,磁北極・磁南極,地磁気北極・地磁気南極,地磁気のS極・地磁気のN極
・火成岩の分類:酸性・中性・塩基性,珪長質・中間質・苦鉄質
・クロスラミナ:斜交葉理,葉理,斜交層理,斜層理,偽層
参考文献
文部省検定済教科書・文部科学省検定済教科書「地学」各種
文部省:学術用語集 地学編,地震学編,地理学編など
根本泰雄ほか(2016):教科書使用用語課題解決への道,JpGU2016年大会,G04-09
山本政一郞,尾方隆幸(2016):高等学校「地理」「地学」における教科書記述の比較検討,JpGU2016年大会,G04-P06