JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG27] [EE] 水―人間系の動態:観測、理解、モデル化とマネジメント

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 A05 (東京ベイ幕張ホール)

コンビーナ:沖 大幹(東京大学生産技術研究所)、Murugesu Sivapalan(University of Illinois at Urbana Champaign)、Giuliano Di Baldassarre(Uppsala University)、座長:Sivapalan Murugesu(University of Illinois at Urbana Champaign)、座長:沖 大幹(東京大学)

16:45 〜 17:00

[HCG27-12] 陸域統合モデル:陸面・水資源・作物・土地利用結合モデルによる気候変動リスク評価

*横畠 徳太1伊藤 昭彦1花崎 直太1櫻井 玄2木下 嗣基3飯泉 仁之直2眞崎 良光4新田 友子5Pokhrel Yadu6佐藤 雄亮7江守 正多1 (1.国立環境研究所、2. 農業・食品産業技術総合研究機構、3.茨城大学、4.弘前大学、5.東京大学、6.ミシガン州立大学、7.国際応用システム分析研究所)

キーワード:Climate change, Water resources, Land use

将来の気候変動は、食料生産•水資源•エネルギー•生態系サービスなどの要素に大きな影響を与えると考えられるが、それぞれの要素に与える影響は密接に関連するため、要素間の相互作用を考慮することが必要不可欠である。これまでの研究では、気候変動が食料•水•エネルギー•生態系のそれぞれに対して及ぼす影響の評価は行われてきたが、これら全体を陸域における自然—人間活動をシステムとして総合的にとらえて影響評価を行うことが、重要な課題である。そこで本研究では、気候変動が土地・水・農業・生態系に及ぼす影響を総合的に評価できる「陸域統合モデル」を開発する。モデルでは、全球気候モデルMIROC (Watanabe et al. 2010) の一要素である陸面モデルMATSIRO (Takata et al. 2003, Nitta et al. 2014) に、陸域生態系モデル VISIT (Ito and Inatomi 2012)、水資源モデルH08 (Hanasaki et al. 2008, Pokhrel et al. 2012)、作物モデルPRYSBI2 (Sakurai et al. 2015)、土地利用モデルTELMO (Kinoshita et al., in preparation) が結合されたモデルである。モデルでは、各サブモデルで計算された出力変数が、関係する別のモデルに数時間あるいは一日の時間ステップで渡され、時間発展する。たとえば、作物モデルPRYSIBI2で計算された穀物収量は、土地利用モデルTELMOに渡され、翌年の土地利用変化が計算される。予報された土地利用変化は、すべてのサブモデルで利用される。また、水資源モデルH08では灌漑プロセス(河川からの取水)、ダム操作を考慮しており、その結果が陸面モデルの土壌水分や河川流量に影響を与える。発表では、モデル開発の現状と、過去再現実験および将来予測実験の結果を報告する。過去再現実験に関しては、モデルシミュレーションによって得られた河川流量、灌漑水量、穀物収穫量、生態系生産量などを、観測や客観解析データと比較することにより、モデルの検証を行った。将来実験に関しては、将来の穀物土地利用面積と穀物生産量との関係などについて調べることにより、気候変動の影響と対策のリスクに関する分析を行った。