JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[JJ] ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG32] [JJ] 原子力と地球惑星科学

2017年5月23日(火) 15:30 〜 17:00 ポスター会場 (国際展示場 7ホール)

コンビーナ:笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、佐藤 努(北海道大学工学研究院)、幡谷 竜太(一般財団法人 電力中央研究所)

[HCG32-P01] 高速増殖原型炉もんじゅ敷地の花崗岩に見られる非活動的な破砕帯の小規模構造

*島田 耕史1末岡 茂1照沢 秀司1 (1.国立研究開発法人日本原子力研究開発機構)

キーワード:破砕帯、もんじゅ、花崗岩

はじめに:破砕帯の活動性評価を進める際に、活動的ではないことが既知である破砕帯の小規模構造との比較は有用である。重要施設の立地に関連して活動性評価が求められるのは、しばしば、小規模な破砕帯であるが、それらの変形構造に焦点を当てた研究例はあまり多くない。そこで本報告では花崗岩中に発達する非活動的な破砕帯の小規模構造について紹介する。試料は、福井県敦賀半島北部のもんじゅ敷地の花崗岩中にみられる破砕帯から得られたもので、この破砕帯には約19Maの玄武岩岩脈貫入以降の活動は認められない(Sueoka et al., submitted)。
延性的な小規模変形構造:破砕帯は主すべり層に沿って約10cmの右ずれを示す。この主すべり層の外側では、変位マーカー(古い破砕帯)が引きずられたせん断変形がみられる。この外側部分のひずみ測定を、単純せん断を仮定して計測したところ、厚さ9.3mmの部分の平均せん断ひずみは1.6と計算された。このような外側部分のせん断ひずみが肉眼的にわかる形で保存されるためには、変形は延性的である必要がある。
準脆性流動を示す変形微小構造:主すべり層の端部付近の最新活動を示す変形微小構造は、厚さ約1cmのカタクレーサイトからなるひずみ集中帯中にみられる。構成鉱物は、主に石英、斜長石、カリ長石、黒雲母である。斜長石の変質による粘土鉱物の生成がみられるが、全体的に偏光顕微鏡下で透明感があり、粘土鉱物の量は少ない。石英の再結晶組織は認められない。母岩との境界は凹凸があり、mm規模で遷移する。母岩に向かって、鉱物粒子を横切る割れ目の数が減少していく。カタクレーサイト中の石英、長石の破砕された粒子は、0.5-1mm程度の粒径が目立つ。黒雲母は引き伸ばされ、面構造を規定し、非対称紡錘形の粒子が右ずれセンスを示す。結晶内塑性変形を示す黒雲母と、破砕変形を示す石英、長石類の共存は、破砕帯が準脆性流動を生じつつ形成されたことを示しており、最新活動時期の変形環境は高温であり、活断層ではないことを示している。
Sueoka et al., Fission-track dating of faulting events accommodating plastic deformation of biotites. JGR-SE submitted.