JpGU-AGU Joint Meeting 2017

講演情報

[EE] 口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS12] [EE] Tsunami disaster mitigation

2017年5月25日(木) 09:00 〜 10:30 105 (国際会議場 1F)

コンビーナ:対馬 弘晃(気象庁気象研究所)、馬場 俊孝(徳島大学大学院理工学研究部)、Eddie N. Bernard(Survival Capsule, LLC)、座長:馬場 俊孝(徳島大学大学院理工学研究部)、座長:Bernard Eddie(Survival Capsule, LLC)

10:00 〜 10:15

[HDS12-05] 巨大津波の早期検知に向けた航空機レーダーによる海面高度観測

*広部 智之1丹羽 淑博1遠藤 貴洋1ムリア イアン1稲津 大祐2吉田 毅郎3舘畑 秀衛1灘井 章嗣4早稲田 卓爾5日比谷 紀之6 (1.東京大学海洋アライアンス、2.東京海洋大学海洋環境学科、3.東京大学生産技術研究所、4.情報通信研究機構、5.東京大学新領域創成科学研究科、6.東京大学理学系研究科)

キーワード:tsunami forecast, airborne observations, radar altimeter, GNSS

多くの津波予測システムは地震規模の推定結果に依存しているが、地震の規模が大きく振動が長時間続くようなケースでは地震・津波規模を過小評価してしまう傾向にある。一方、衛星レーダーを使って津波を直接的に検知する試みも行われている。衛星レーダーにより津波を検知した報告もなされているが(J. Gower 2007など)、衛星レーダーによって高い観測密度を確保することは難しく、リアルタイム検知は困難な状況にある。そこで我々は航空機に取り付けたレーダーを用いた海面高度観測による津波の直接検知を提案する。

今回我々は航空機胴体下部に取り付けたFrequency Modulated Continuous Wave (FMCW)レーダーによって直下点観測を行った。レーダー観測技術自体は現在衛星による海面高度観測で用いられているものと同様である。気流による揺れの影響が大きい航空機観測の場合、機体の位置を(Global Navigation Satellite System) GNSS観測により正確に捕捉することも重要となる。今回キネマティック基線解析により位置と高度を推定した。本研究では、レーダーによる海面距離観測およびGNSSによる高度推定により平均海面高さの時空間変化を算出した。

観測は2016年の6月に1回、12月に2回行った。精度検証のため、海面高度観測衛星Jason-2及びJason-3と同日同軌道上を数回往復する形で海面高度を計測し比較した。ジオイド高および潮位変化の補正を行った結果、誤差は10cm以下であり、巨大地震が引き起こす津波を沖合で捉えることが十分に可能であることを確かめた。将来的に複数の旅客機にレーダーを搭載することにより、より安価で密度の高い観測網を形成し、津波規模を直接かつ即時に検知できるとことが期待される。